【東大生に聞いてみた】勉強ってどこが面白いの?【勉強する意味】

地方高校生に、追い風を

はじめに

「なんで勉強しなきゃいけないの?」

「勉強ってどこが面白いの?」

こんなことを、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

その疑問、東大生にぶつけてみました。

東大生にとって勉強の意味とは? 面白さとは?

日本一勉強していそうな「東大生」にアンケート調査を実施し、その結果を報告していきます。

この記事が、勉強する意味を見失ってしまった人の参考になったら嬉しいです。

調査方法

ここでは、調査方法について簡単に説明しています。「細かいことはどうでもいい」「早く結果が知りたい」という方は飛ばしてください。

筆者も「東大生」の端くれですから、「アカデミック・ライティング」なるものをいくらか習ったわけです。

その立場上、調査方法も書かれてない報告ではさまざまなところからお叱りを受けるかもしれないので、簡単ながらこちらにまとめておきます。

  • アンケート調査は、東大生であるFairWindメンバーを対象に、Google Formを用いて実施し、36人から回答を得ました。
  • 質問項目は6問です。
  • 質問1及び2は「勉強の楽しさ・面白さ」に関する質問でした。
    • 1は回答選択式の質問で、「どこに勉強の楽しさ・面白さがあるか」について、選択肢の中から当てはまるものを全て選んでもらいました。
    • 2は記述回答式の質問で、1での選択理由や、1で選択したもの以外の回答を記入してもらいました。
  • 質問3及び4は「勉強しなければならない理由」に関する質問でした。
    • 3は回答選択式の質問で、「どうして勉強しなければならないのか」について、選択肢の中から当てはまるものを全て選んでもらいました。
    • 4は記述回答式の質問で、3での選択理由や、3で選択したもの以外の回答を記入してもらいました。
  • 質問5及び6は「勉強している理由」に関する質問でした。
    • 5は回答選択式の質問で、「どうして勉強しているのか」について、選択肢の中から当てはまるものを全て選んでもらいました。
    • 6は記述回答式の質問で、5での選択理由や、5で選択したもの以外の回答を記入してもらいました。

勉強のどこが楽しい・面白い

選択回答で多かった意見と、記述回答から興味深かった意見をご紹介します。以下の質問も同様です。

「勉強ってどこが面白いの?」

勉強大好き(?)な「東大生」の回答はいかに。

何かが身につく喜び

選択式回答のTOP5をランキング形式で見てみましょう。

第1位新しいことができる/わかるようになる89%
第2位興味・関心のある内容である69%
第3位自己肯定感が上がる50%
第4位正解に辿り着く喜び47%
第5位難しい課題へ挑戦すること42%

「新しいことができる / わかるようになる」を9割近い人が選択していました。

理由としては、

「新しい言語を知ると世界を新しい側面から知覚できるところが面白い。英語にしかない語彙や表現を知るとその言語体系の考え方も少し理解できる」

「第二外国語として選択したフランス語の勉強が楽しい。映画などを見て、少しずつフランス語が理解できるようになっている実感を得ると、やっていてよかったな、楽しいなと思える」

など、外国語に絡めた意見が見られました。

東大では、英語の他に第二外国語を学ぶので、その過程で勉強の面白さを実感する人も多いのかもしれません。

次いで「興味・関心のある内容である」「自己肯定感が上がる」という回答へのコメントには、「好きなことを頑張っているうちに、他の人にはできない自分だけの強みになる気がして、それが快感です」などがありました。

「興味・関心」のあることを勉強しているうちに「自分の強み」を手に入れ、それが「自己肯定感」に繋がる。そんな実感の中で勉強に励んでいるのではないでしょうか。

「実に面白い」個性派回答

ここでは、筆者の独断と偏見に基づいて、ぜひご覧いただきたい回答を3つご紹介します。

「頑張った分返ってくる!」

「一度間違えた問題だけど、何度も復習したおかげでテストで出たときに解けた」

これを読んでいる皆さんにも似たような経験があるかもしれません。

努力の成果が出る喜びは、部活動など勉強以外にも通じる「面白さ・楽しさ」ですね。

「世界の見え方が変わる」「視野が広がる」

同じものであっても、何を学んできたかによって、見え方が異なってきますよね。

レモンを目の前にしたとき、クエン酸やビタミンCを想起する人も、梶井基次郎を連想する人も、米津玄師を思い出す人もいるでしょう。

1つのものに対していくつも視点を持っているほうが、なんとなく楽しく豊かな気がしないでしょうか?

勉強はそんな楽しさ・豊かさをもたらしてくれるのかもしれません。

「例えツッコミの幅が広がる」

......らしいです。

勉強はどうしてしなきゃいけないの? 何の役に立つの

「東大生」にこんなことを聞いたら、「勉強なんてするのが当たり前だよ」と返ってきそうだと思うかもしれませんね。

「どうして勉強しなきゃいけないの?」

全人類の疑問に対して、東大生はどう答えてくれるのでしょうか。

勉強で世界を、未来を拓く

まずはTOP5です。

第1位知っている世界をできる限り広げなければならないと思うから67%
第2位(同率)良い仕事を得るため39%
第2位(同率)勉強しないと社会に出て困るから39%
第4位より発展的な勉強の基礎として必要だから30%
第5位専門的な資格を取るため25%

第1位「知っている世界をできる限り広げなければならないと思うから」は、前の質問で出た「世界の見え方が変わる」という回答に繋がっていそうですね。

勉強した分だけ見える世界が広がるということでしょうか。

同率2位となった「良い仕事を得るため」「勉強しないと社会に出て困るから」は、学生時代の先を見据えた回答だと言えそうです。

「日本は学歴社会だから」と、勉強の結果が実利となる社会の現状を指摘する声があった一方、「自分が勉強させてもらっている分を何らかの形で社会に還元する必要がある」と、社会の役に立つことを重視する回答もありました。

4位・5位は、よりレベルアップするために勉強していると見ることができます。

具体的な目標があると、勉強へのモチベーションも上がりますよね。

勉強不要論も⁉︎ 気になる意見をピックアップ

ランキングから漏れてしまった意見などを、またまた筆者の独断と偏見で3つ取り上げます。

「そもそも勉強はしなくても良い」

「必要を感じる人だけがすれば良い」などのコメントも寄せられました。確かに多様性の時代、同じレールの上で勉強することだけが絶対ではないのかもしれませんね。

ただ、「預かり知らぬところで損してるかもしれない」との意見にもある通り、生きていく上で必要なリテラシーを失わない程度には勉強しておきたいものです。

「他者の気持ちを理解するため」

勉強によって得られるものを、ものの見方・考え方だと捉えたとき、他者の視点も勉強の結果得られるものの1つだと言えます。

また、英語を勉強することで英語でしか表現されない感覚を知ることができるように、勉強して得た知識が、他者を理解する基礎となることもあるでしょう。

優しくあるために、勉強は必要不可欠な過程なのかもしれません。

「相手が高度なボケをしてきたときでも的確に対処してツッコめるようにするため」

どうしてもツッコミをしたい人がいるようです。

東大生はどうして勉強しているの

これまで、勉強すること自体をどう考えるか東大生に質問してきましたが、最後は各々の視点で、以下に答えてもらいました。

「どうして勉強しているの?」

東大生は、自分が今している勉強をどう捉えているのでしょうか。

知の探求者、そして一介の学生

選択式回答のランキングです。

第1位知識や技能を身につけたいから72%
第2位興味・関心のあることをもっと知りたいから67%
第3位卒業・進学するため50%
第4位良い成績を収めたいから28%
第5位資格を取るため19%

全体の7割以上が選択した1位は「知識や技能を身につけたいから」でした。

学生として研究に携わる立場にある以上、知識はいくらでも欲しいものですし、実験や調査を行う上では技能も重要です。

知の探究の場である大学。そんな環境に身を置いていることを考えれば納得の結果でしょう。

また、「いろんなことを知っていれば生きてるのが楽しくなる」と考えて知識を吸収する人もいるようです。

第2位は「興味・関心のあることをもっと知りたいから」。知的好奇心とも換言できそうなこちらの回答が僅差で2位となりました。

「大学に入ってから、学問的な楽しさを感じながら好奇心で勉強することが増えた」という人も。

「何に興味があるのかを知るためにも、まずは一通り勉強してみる必要がある」など、「もっと知りたい」を見つけるために勉強しているというコメントも多く見られました。

第3位と第4位には、非常にリアルな意見がランクイン。

進学選択制度があり、1・2年生の間の成績順で3年生以降に所属する学部が決まる東大では、成績評価も大事な要素。

第4位の「良い成績を収めたいから」は、やはり成績は気になるという東大生のリアルな意識を窺わせます。

また、留年することなく無事に大学生活を終えたいというのは、東大生に限らず全大学生共通の意見であるようにも思われます。

第5位は「資格を取るため」。「勉強が役立つ理由」の質問でも5位に入った「資格」についての回答がこちらでも5位に。

教員免許をはじめ、大学の授業を通して取ることのできる資格もあることが大きいようです。

東大生はやっぱり勉強好き⁉︎

この質問でも個性的な意見をもらうことができたので、筆者の独断と偏見で3つ紹介します。

「平等に評価してもらえる最後の大切な機会だから」

「勉強や受験は、誰もが同じように頑張れば同じような結果が出るといった平等なものではないと思うけど、社会に出てからの評価の場面に比べると、自分の点数だけで評価してもらえることは貴重だと感じるから」との理由付きのこの回答。

社会の理不尽を見据えたような意見に、筆者もドキリとしました。

確かに、「勉強だけしかすることがないのは学生の特権」なんてことも言われますね。

「7%くらいは......」

「基本的にはただ楽しいから勉強しています。専門的な知識を獲得し、それを利用して社会的立場を獲得したいからという理由も7%くらいはあります」とのこと。

「7%」ってやけに正確だな......。それだけの理由で選出です。

「勉強はしていない」

実はこの選択肢、誰にも選ばれませんでした。

さすがは「東大生」? 全員何かしらの「勉強」をしているという意識を持っているようです。

おわりに

いかがでしたか?

今回の記事では、3つの質問で東大生が勉強とどう向き合っているか聞いてみました。

1つ目の質問では、皆さんと大して変わらない、等身大の楽しさ・面白さを見出して勉強に励む東大生の姿が見られました。

2つ目の質問では、勉強する意味を通して東大生の価値観の一端に触れることができました。

3つ目の質問では、「勉強に高尚な理由なんていらないのかもしれない」と思わせるような、リアルな東大生に出会ったかもしれません。

この記事を通して、東大生が何を考え、また何を目指して勉強しているのかを少しは知ってもらえたと思います。

ここに書いてあったことの借り物でも構いません。彼らの意見を参考に、勉強の意味について自分なりの考えを持ってみましょう。

ただ「わからない」という感覚を持ち続けるよりも、いくらか楽になるのではないでしょうか。