難関大受験者に贈る高校留学のすすめ

地方高校生に、追い風を

はじめに

「海外へ留学したい! でも学習が遅れないかな……」

このような悩みを抱えている人はいませんか?

たとえ留学したいという意志があったとしても、受験のことを考えると留学を諦めてしまう人がいると思います。

ですが、留学したいという気持ちを諦める必要はありません。難関大受験と高校留学は両立できます!

この記事では、高1のときにアメリカに留学に行って東大合格を果たした私が、「高校留学→難関大受験」という夢を実現するための勉強の進め方について1つの方針を示しています。

高1の間に英語圏の高校に留学をした上で、さらに学力試験を用いた一般選抜で難関大受験もしたい!という人に読んでほしいです。

(※注意:総合型選抜や学校推薦型選抜を用いて、留学経験を生かした大学受験をしようという人向けではありません。)

留学に行こう!

留学→受験」という道のりは困難ですが、それでも留学をするという選択には大きなメリットがあると私は思います。

留学で得られることは数多くありますが、その中でも

1:積極的な発言ができるようになる

2:かけがえのない友人ができる

3:異なる価値観に触れられる

以上3点について私の考えをお伝えします。

留学のメリット1:積極的な発言ができるようになる

空気を読んで周りに同調することが求められる日本とは違い、欧米では積極的な自己アピールが求められます。

意見を言わない人は存在価値がない、と言われる環境で学問を修めることで、自分の意見をしっかりと相手に伝えることができるようになるでしょう。

留学で発言の機会がたくさんある環境に慣れてしまえば、発表の場で緊張するという心配はいりません。

言われたことを「はいはい」とただ聞くのではなく、自ら学ぶ姿勢を続けることでより深い理解を得ることができるようになります。

帰国後は日本のクラスのみんなのあまりの消極性に違和感を覚える程です。

留学のメリット2:かけがえのない友人ができる

留学に行くと、多くの場合は現地の高校に通うことになります。

そこで同じ授業を取る人や、同じクラブの人、教会の人などといった、様々な人と繋がりを持つことができ、たくさんの友達を作ることができます。

その場限りの関係ではなく、帰国後も頻繁にお話しするような大親友と呼べる人も私は何人もできました。

留学のメリット3:異なる価値観に触れられる

留学先で様々な人と出会うことで、多様な価値観があることに気づきます。

日本では学べなかった「考えることは人それぞれで、同調する必要はない」当たり前のことを肌で感じることができ、多様性への寛容さを身につけることができます。

この先グローバル化がどんどん進む世界において、この精神を身に付けているというのは大変重要です。

学校が留学を応援してくれなかったら

残念なことに、すべての学校の先生が留学に賛成してくれるわけではありません。

進学校の成績の良い人は、受験に不利になるかもしれないという懸念があり、先生から留学を反対されるケースも少なくありません。

しかし、大事なことは「あなたが何をやりたいのか」であって「学校があなたに何を求めているのか」ではありません。

留学の書類作成の協力をお願いしても拒否されるようであれば、学校を介さずとも留学することはできるので、別のルートを探しましょう。

留学に行っても受験を諦めない、という強い意志を先生に示すためには、渡航前の勉強をしっかりやることが肝心です。

学校の既習範囲を完璧にしておくことで先生からの信頼を得て、留学で学習が遅れてもこの子なら問題なくついていける、と思われれば協力してもらいやすくなります。

留学前の勉強

留学前は、先取り学習をすることを強くおすすめします。

留学によって1年間授業をスキップするので、その分他の人に追いつくために頑張らなければいけません。

留学をしないでそのまま難関大受験をする人よりも困難な道になることは覚悟してください。

ここでは、留学前の学習の方針を紹介します。

数学

高1の留学出発前までに数学IAIIBの教科書レベルの学習を終えるのが理想的です。

おすすめの教材として、数学検定の参考書があります。

問題のレベルがそこまで高くないため、範囲内の学習を進めるのに適しています。

理系の人は、数Ⅲまで終わらせる必要はないと思います。

また、入試レベルを解けるようになっている必要は無く、あくまでも基本ができるというレベルで問題ありません。

帰国後に新出の概念を学ぶという状況を作らないようにすることが重要です。

国語

普段から文章を読む習慣をつけましょう。

新聞を活用し、毎日1面だけでも読む、というように日課にするのがおすすめです。

現代文の素養は留学に向けても必要です。

留学先で出会う人からすれば、あなたは日本という国の代表のような存在です。

他の例を知らないので、日本という国のイメージをあなたからの情報を基に固めていきます。

自国のことを聞かれて答えられないと恥ずかしい思いをすることもあるので、留学前は日本についての知識もしっかり持ちましょう。

これが自然と現代文の力にもなるはずです。

また、異国語の文章に対して、母国語で読むときよりも理解が深まることはありえません。

出発前に日本語の文章をしっかりと理解できるようになっておきましょう。

帰国してからの1・2年で、作問者の求める答えを書く力が向上することはあると思いますが、劇的に読解力が伸びるということは期待できません。

ですので高1までのうちに読解力を鍛えましょう(→ 国語の勉強法の記事はこちら

古典の単語や文法は留学中に忘れてしまうので、渡航前に必死になって入れ込む必要はないでしょう。

英語

留学先で英語をたくさん話すので、英語は高得点を取れるようになると勘違いしてしまう人がいますが、そのようなことはありません。

入試英語というものは英会話と別種のものであり、解けるようになるためには別途対策が必要です。

留学先で普通に日常生活をしているだけでは大学受験レベルの語彙は身に付きません。

単語帳を見るなどして、意識的に単語を覚え込む必要があります。

また、留学をどれだけ充実したものにできるかということも、留学前の語学力にかかっています。

そのため、渡航前に英語の勉強を努力する必要があります。

最低でも英検2級レベルの英語力を身につけていないと、留学で得られるものは少なくなってしまうでしょう。

社会・理科

これらの科目については、中学レベルの事項が充分に理解できているならば、帰国後から勉強しても充分キャッチアップできます。

渡航前に特に力を入れる必要はないでしょう。

留学中

日本の勉強はする?

日本の学校の勉強をするために教科書を持って行ったという話も聞きますが、私は留学中に日本の学校の勉強をする必要はないと思います。

まずそれをする時間がありません。

当然留学先でも高校に通い、そこで宿題が出されます。

現地の英語ネイティブ高校生向けの課題をやらなければならないのです。

そんな状況で、日本の学校の勉強をする時間を確保するのは難しいと思われます。

そして教科書を持ってくる分だけ荷物がかさばってしまい、移動も大変になります。

その分ホストファミリーへのお土産か何かを入れた方が良いと思います。

生活に関して

ホストファミリーから、「教会に行こう」などと誘われることが多々あります。こんなときは面倒くさがらず、積極的について行ってほしいです。

その国の家族がどのように過ごすのか、などといった独自の文化を感じることができます。

また、クラブ活動が活発なので、興味のあるクラブに所属するといいでしょう。日本の高校に比べ、かなり早い時間に放課後となるので、そこで取り組むことを決めておくと充実した日々を過ごすことができます。クラブに入ることで、気の合う友達を作りやすくなるかもしれません。

授業に関して

アメリカの高校では時間割を自分で組むのですが、その際に注意しなければならないことがあります。

それは、理系教科ばかりにしないということです。

私が留学時に利用したYFUという団体の調査によると、帰国してから英語力がそれほど上がっていない人は、留学中に理系教科ばかり取っていた傾向があるそうです。

文系科目を取ると英語力が上がる理由はなんでしょうか。

それは、授業中に出てくる語彙がハイレベルであること、そしてたくさん読んでたくさん書くことにより、英語ライティングのスキルがかなり鍛えられるためです。

文系科目として何の授業を取ればいいのかわからないという人は、留学先の国の歴史の授業を取ることをおすすめします。その国の歴史や文化について詳しくなることができるからです。

アメリカでは、一般的な教科の他に面白い授業がたくさんあります。

たとえば「Cooking」の授業では、高校が運営しているレストランを実際に経営する実践的な体験ができます。

また、「Band」の授業では楽器を演奏したりマーチングをしたりします。

日本では部活動でするようなことが授業の中でできるのです。

上で紹介した以外にもたくさんの面白い授業があり、どのようなものがあるのかは高校の特色になっています。

数学の授業に関しては、日本人の高校生ならばクラスでスターになることができます。難度の高いクラスを取っても問題なくついていけるでしょう。

周りの人は小さい頃から計算に電卓を使用しているため、簡単な暗算を披露するだけでクラス中から尊敬の目で見られます。

理科系の授業は進度がゆっくりなので、自分の英語に不安があってもついていけます。

日本の高校では、等速直線運動の説明に2週間程度の時間をかけるところを、私の留学先の高校の授業では2ヶ月位かけていました。

留学から帰った後の勉強

ここからは、帰国後にどのようにして勉強を進めていけばよいのかについての方針をお伝えします。

数学

留学前に先取りしておいた内容を思い出すためにも、たくさんの量の演習を重ねましょう。理系の人は数Ⅲをなるべく早く終わらせましょう。

国語

国語については帰国してからが勝負になります。

全力で古典文法や古文単語を覚えましょう。

また、読解の勘を取り戻すために文章をたくさん読みましょう。

英語

留学の成果はリスニング力とスピーキング力の伸びに現れているはずです。

共通テストのリスニングでは満点を十分狙えるレベルに達していると思います。

また、イディオムにも強くなっているはずです。

しかし残念ながら、リスニングとスピーキングのスキルを評価してくれる大学はあまり多くありません。

ですので、演習を重ねることによって入試独特の問題形式に慣れることが肝心です。

英検やIELTSのような4技能試験の資格は、帰国後のなるべく早い時期に取得することをおすすめします。その方が高得点を狙えるからです。

社会・理科

知識を入れ込むことが大事です。

ここで意識してほしいことは、ただの暗記で終わっていてはいけないということです。

ライバルに遅れを取っている分、追い越すためには効率的に勉強する必要があります。

そのためには概念の理解が一番の近道だと思います。

たとえば理科に関して言えば、どうしてこの公式が導出されるのかを理解すれば、もし公式を忘れてしまったとしても自分で作り出すことができる、ということです。

課外活動はやめるべき?

部活動などの課外活動は勉強の遅れを取り戻すためにやめなければいけないのか、そんな疑問を持つ人もいると思います。

ですが、私はやめる必要はないと思います。高校生として部活動ができる時期は限られているので、それらの活動に積極的に取り組むことを強くおすすめします。

私の場合は、帰国後も弓道部の活動を続け、大会に出場し優勝することができ、部活動の仲間との楽しい思い出を作ることができました。

部活動をやめて勉強に専念していたら得られなかった達成感なので、部活動を続けて良かったと思っています。

また、留学先で「やさしさを広げる」という理念を持って活動している団体に出会い、そのメンバーたちが数々の課題を抱えた多くの生徒を救い出している様子を見ました。

この団体の理念に共感した私は、帰国後に日本の学校の仲間たちと社会福祉団体を立ち上げ、地域での学習支援などのチャリティー活動を通して貴重な体験をすることができました。

留学先で培った、積極的に自分の考えを発信する力、そして仲間と議論する力は、この団体を運営する上で大きく役に立ちました。

学校の授業

帰国後の学習において1つ懸念されることが、学校の授業です。

授業の内容と自分の学習進度とが合っていないことが多いため、聞いてもわからず苦痛を感じてしまうという状況になってしまいます。

そんなときは、キャッチアップするために授業中に自習をしてもいいかを遠慮せずに先生に打診してみましょう。

他のみんなよりも早いスピードで学習を進めていけば、いつの間にかクラスメイトの学習進度を追い越していることになるはずです。

おわりに

この記事では、受験と留学を両立させる方法について述べました。難関大受験と高校留学のどちらも実現させたいという人はぜひ参考にしてみてください。

ここに書いた方法以外にも受験と留学を両立させるやり方はあります。

私の体験を参考にしてもらっても構いませんが、自分に合ったやり方を模索し、夢を諦めることなく多くのことに挑戦してください。

高校時代の経験は将来必ず役に立ちます!