【東大生に聞いた】ものづくりで社会に貢献【工学部精密工学科】

地方高校生に、追い風を

みなさんには、将来就きたい仕事や、大学で学びたい学問はありますか?
ぼんやりとは想像できても、具体的にイメージするのは意外と難しいのではないでしょうか。

そこで今回から、東大の専門課程に進んだ先輩方へのインタビューの連載をスタートします! 
研究室の話や進学選択のエピソードなど、そこに進学した人にしか分からない、東大生の生の声をお届けします。
「学部がたくさんあって進路がなかなか決められない…」「大学の学部や勉強について詳しく知りたい!」というみなさんは必見です!
第1弾は、工学部編
実は、東大一の規模を誇る学部でもあります。
工学部編は、6月中、毎週月曜日に全4回でお届けします!

記念すべき第1回を飾るのは、この方!

【プロフィール】※情報はインタビュー時のものです
・名前:Sさん
・学年:4年
・学部・学科:工学部・精密工学科
・出身:富山県・富山高校


精密工学科ってどんなところ?

── 今はどのような勉強をされているんですか?

卒業研究では、機械などに入れる異常検知のセンサーの研究をしていました。

── なるほど……。具体的にはどうやって?

機械って、故障すると変な風に振動するんですよ。その振動を検知すれば、機械の故障を検知することができる。だから、意図的に機械を壊して、振動の様子をセンサーで記録し、取ったデータを解析して、壊れていないときの振動のデータと比較する、ということをしていました。

── その研究は、社会ではどのように役立てられているんですか?

従来のやり方だと、故障がないかを点検するためには定期メンテナンスが必要なんですが、メンテナンスをするには機械を全部ストップさせないといけないんですね。

それをセンサーで自動化すると、メンテナンスの頻度を減らすことができるんです。たとえば、故障するとアラームが鳴る仕組みにすれば、機械を止めるのは故障したときだけで済むので、無駄を減らすことができます。


高校時代から憧れていた工学部

── 理科一類の出身ですよね。理科一類から工学部に進学する人は多いですが、高校時代から工学部志望だったんですか?

そうですね、工学部に行きたいと思っていました。具体的に何をするかは決まっていなかったのですが、ものづくりに漠然とした興味を持っていたことや、親が工学系の仕事をしていたことから、工学部に対して憧れがありました。物理や数学が好きだったことも志望理由の一つです。

── 学部選択については迷いは無さそうに感じたのですが、学科選択については迷いはありましたか?

もともと機械系には興味があったんですが、プログラミングも面白そうだと思い、電子情報工学科電気電子工学科計数工学科を視野に入れていた時期もありましたね。

最終的には機械系をメインで学びたいなと思って、自分の中で候補として挙がったのが機械工学科や精密工学科でした。より物理っぽいことを扱うのが機械工学科、情報系や電気回路系のことも扱うのが精密工学科という印象で、情報系もやりたいなと思って精密工学科を選びました。


ものだけじゃなく環境も。興味を追いかけて

── 大学卒業後の進路について教えてください。

大学院に進学しますが、学部のときとは違う研究室に行く予定です。と言っても、興味関心が変わったわけではなくて、学部のときは希望通りの研究室に配属されなかったので、もともと行きたかった研究室に行くというだけなんですけどね。

── 希望通りの研究室に入れるとは限らないんですね……。次の研究室ではどんなことを研究するんですか?

一言では言い表しづらいんですが、ものをつくるのではなくて、ものづくりのシステムそのものを考える研究をします。今の研究室が、実験して、データをとって、そのデータを解析して…という、いわゆる実験系の研究室なんですけど、次の研究室はもっと概念的な研究というか。一言で言えば、「環境に良いものづくりのあり方」を考える研究、ということになるかな。

── ものづくりのあり方……。具体的には?

たとえば、環境に良いものとして、太陽光パネルってあるじゃないですか。太陽光パネルを普及させて環境に良い社会を作るためには、どんな戦略が必要なのかということを考えたりします。

あとは最近、新しい技術を使ったものづくりというものが考えられているんですよね。最初に話した故障検知のセンサーとか、AIを使った画像検出とか。

そのような、新しい技術を使ったものづくりを実現するためにはどんなビジネスモデルが必要か、実際にその技術を取り入れるとどれくらい環境に良くなるのかなど、もの自体をつくるというよりは、ものと社会の連携を考えた上で、環境に良いものづくりのあり方を考えていこうという研究です。

── 機械そのものをつくるというよりは、それらを取り巻く全体をつくっていくということですね。今度行く研究室に魅力を感じたきっかけは?

もともと環境問題には興味があったんですが、自分が工学部で学ぶ技術の何に魅力を感じているのか、ということが関係していると思います。機械やAI技術を使うことで、人の手だけでやっていたら発生する無駄を減らせるということが魅力なのかなと、ここ数年で思うようになって。それで次行く研究室に魅力を感じたという背景があります。


ものづくりが好きな人はぜひ工学部へ

── この記事を読んでくれる高校生に向けて、メッセージをお願いします!

工学の1番良いところは、他の学問と比べて社会との連携が強いこと。工学部は、自分のしている勉強が何に役立つのかがかなり分かりやすい学部じゃないかなと思います。ものを作って社会に貢献したいという人にはぴったりだと思うので、ものづくりに興味がある人はぜひ目指してもらえたらと思います!


いかがでしたか? Sさんの工学にかける熱い思いや、ものづくりの魅力が感じられましたね!
次回は、同じく工学部精密工学科のKさんのインタビューをお届けします。お楽しみに!