【メルマガ試し読み】数学・理系国語の対策

地方高校生に、追い風を

過去に配信されたメールマガジンの記事になります。東大生の生の声が綴られています。お楽しみください!(なお、執筆者の科類や学年は執筆時点でのものとなります。)


理科一類1年 A.F.

みなさんこんにちは。理科一類1年のA.F.です。
COVID-19の影響で、東大に入学したのにも関わらずこの記事を執筆している時点で未だに福島にいます。(東大生なのに東大のキャンパスにまだ1度しか行けていません…。)
自分の出身校では夏休みが大幅に短くなったと後輩から聞きましたが、皆さんの高校はどうでしょうか?
さて、今回は東大入試において大きなウェイトを占める数学、そして理系東大志望が1番対策に困るであろう国語(理系)の対策法についてまとめてみました。是非参考にしてみてくださいね。

①数学について

高2以下の皆さんへ

臨時休校により授業で習っていた内容が中途半端のままになってしまったり、学校再開後、急に授業の進度が早くなったりして困っている人が多いと思います。たとえ今はそうでなくとも、例年より明らかに授業進度が遅れてしまっているため、必ずどこかで「ツケ」が回ってきてしまいます。
高校数学において最も重要なことは、教科書の内容をしっかり理解することです。
受験本番では教科書に載っているものよりも何段階も難しい問題が出題されます。
教科書の内容さえ理解できていないのに、そのような問題を解けるはずはありません。
また、「後で復習した時にちゃんとやればいいや」のように考えるのは非常に危険です。

数学は1度躓いてしまうとそこから雪崩のようにどんどん分からなくなっていきます。そして最終的に「数学がわからない」「数学が嫌い」と思うようになってしまいます。
それに、どうせ後でやるなら今やってしまったほうが何倍もマシですよね。
まずはなによりも、授業の内容は必ずその日のうちに100%理解するぞ、という思いを常に持つようにしましょう。
少しでも曖昧なところがあれば、教科書をじっくり読んでみたり、あるいは友人や先生に積極的に聞いてみたりして、不安要素は必ず片付けるようにしましょう。
例年、沢山の受験生が「高2までに数学をちゃんとやっておけばよかった」と言っています。
この時期からこつこつ数学をやっているだけで、受験期にかなりいい思いをすることができます。
逆に言えば、今やらないと受験期に基礎的な内容の復習から始めないといけないため、その分受験勉強のための時間が減ってしまいます。
その分他の教科にまで影響が出てきてしまうかもしれません。善は急げ、です。

上で「進度が遅れてしまっている」とはいいましたが、皆さんには受験までまだまだ沢山の時間があります。
この時間をどのように使うかは皆さん次第ですが、自分から皆さんに「数学の学び方」について提案させて下さい。

皆さんの中で、分からない問題に出会ったらすぐ解答を見るようにしている人はいませんか?
解答を見てそれを丸暗記したり、ただ単に解法だけを覚えたりしている人はいませんか?実はこの勉強法、あまり効果的ではありません。
というのも、学校の定期考査などではたしかにいい点は取れるかもしれませんが、入試ではあらゆる分野から、様々な要素を絡み合わせた問題が出題されるため、解法丸暗記で対応できることはほとんどありません。
大学側は、高校生の皆さんに「自ら考え、その上で適切な解法を編み出し、解を求めること」を求めているのです。
「こういう分野でこんな感じの問題が出てきたら、こんな感じの解法で解いて…」と実質暗記のように学習しても、目新しい問題が沢山出題される東大入試には全く対応できません。
皆さんが普段問題を解くとき、すぐに解答を見るのではなく、「まずは思う存分考え、自分なりの答えが一通り仕上がってから初めて解答を見る」ということを心がけてほしいのです。これが「自ら考える」ことの練習になります。
また、自分なりの答えが出来上がっているので、それを解答と比較することで「ここはこうするといいんだな」や「ここはこれがまずいのかというように気付きを得ることができます。
これらの気付きは次に似た問題を解く時や、他の分野の問題を解くときにも必ず皆さんの力になるはずです。そして最終的には、受験本番で皆さんの味方をしてくれるはずです。
「自ら考える」ことに慣れておくことが東大を志望する皆さんには必要不可欠です。
また解答を見るときには、答えを丸暗記するなど話になりません。解法を覚えるのも、それで対処できる問題には限りがあります。
皆さんが解答を見るときには「なぜこの解法で解いているのか?どうしてここでこの定理を使っているのか?というような「考え方のアイデア」を学ぶことを心がけてほしいです。
数学に暗記は必要ありません。必要なのは、「考え方のアイデア」を増やすことです。受験本番、「考え方のアイデア」は皆さんの武器になります。
アイデアがあればあるほど、いわば「考え方の引き出し」が増えるため、難しい問題にも対応できるようになってきます。
皆さんには時間がまだ沢山あります。「自ら考える」ことの練習、そして「考え方のアイデア」のアイデアを学ぶことは、時間がある皆さんだからこそ可能です。

これらの勉強法をぜひ取り入れてみてくださいね!

高3文系の皆さんへ

既に数IAIIBは学び終えていると思うので、そこまで今回のCOVID-19で大きな影響を受けていないかもしれません。
しかし、演習時間は例年以上に少なくなってしまっていると思います。
まず、教科書の内容で不安なところがある人は今すぐに復習を始めてください。
上の<高2以下の皆さんへ>でも述べたのですが、教科書の内容さえ分からないのに東大入試を戦い抜けるわけがありません。
これは文系の皆さんにも十分当てはまることです。特に、文系の皆さんは他の教科の対策もあるでしょうから、どうしても数学にかけられる時間は少なくなってしまいます。
「問題演習しながら復習すればいいや」というように考えていても、それだけでは復習が不十分なことがほとんどです。
また、過去問などを見たとき、「何を言ってるのか分からない」となった場合も基礎事項が抜け落ちている可能性があります。
自分で教科書を一通り見直してみて、少しでも躓いた所があればいち早くその苦手を潰すようにしましょう。
共通テスト後にどうにかしよう、などという考えは論外です。

東大の文系数学では、ある程度出題分野に偏りがあります。「整数」「確率」「座標(図形と方程式)」「微積分」「漸化式」の5つの分野が頻出です。
これらの分野に少しでも不安要素がある人は危険です。夏が終わるまでに対処するようにしましょう。
文系とはいえ、単に教科書に載っているような典型的な問題が解けるだけでは東大入試には対応できません。
過去問演習や、他大学の入試問題を沢山解き、どのような問題にでも対応できるよう経験を積んでおきましょう。
その際、解答を丸暗記するのはむしろ逆効果です。解答の中でどのような操作が何を理由にして行われているのかを1問1問しっかり分析するようにしてみましょう。
 

高3理系の皆さんへ

3年生の皆さんにはあまり時間がありません。
ですが、理系の皆さんであれば、数学に比較的多く時間を割くことになるのではと思います。
そこで、3年生の皆さんにも、<高2以下の皆さんへ>で述べたような演習の仕方を是非実践してほしいです。
簡単に東大理系数学の分野別戦略を以下に記します。
 

・整数…比較的難問が出題されやすく、特にパターン化しにくいため、整数論の問題にどれだけ触れてきたかの経験が重要になります。
特に、互いに素の考えに注目したり、余りについて考えたり、不等式に絡めて考えるような問題に十分慣れておくと心強いです。

・数列…他分野との融合問題で出題されることがほとんど。確率分野や整数論、極限などでと絡めた問題にも怯むことなく対応できるかどうかがカギです。
漸化式の処理は常に難なくできるレベルになっておくことが求められます。また、Σを用いる計算にも慣れておく必要があります。

・微積分…必ず出題されると言っても過言ではないでしょう。
不等式が絡んでくる問題が出題されることが多いので、十分に演習を積んでおくことが求められます。
また、積分計算については「数学の勘」が重要になってくるので、様々なタイプの積分で演習を詰んでおくことをおすすめします。

・図形と方程式…座標で解くのか、ベクトルで解くのか自分で判断できるようになっておくことが強く求められます。
(問題文がベクトル表示されていないからベクトルではない!といった考えは東大入試では通用しません。逆に、自分で座標を設定しなければいけないことも多々あります。)

・空間図形…上記の積分や図形と方程式の内容と絡んでいることがほとんどです。特に断面や回転体を考える場合は非常に頻出なので慣れておくとよいでしょう。 

・場合の数・確率…二項係数の扱い、複雑な問題文から確率漸化式を立てられるかが特に重要視されます。ここは特に差が付きやすいポイント。

・複素数平面…ここ数年出題されやすいのでおざなりにしてはいけません。
図形問題のように見せかけて実は複素数平面の問題だったということもあるため、複素数の応用の部分は特に演習を積んでおくと安心です。

以下は、学校の進度別のアドバイスです。

(1)既に数IIIまで一通り学び終えている
基本的には<高3文系の皆さんへ>と同様です。理系でもある程度出題分野に偏りがありますが、幅広く対応できるようにしておきましょう。
また、1日1回は必ず数学に触れるようにして、「数学のクセ」をつけるようにしておくといいと思います。
東大を受験する理系生徒であれば、共通テストは数IAIIB共に100点取れてほぼ当たり前です。
特別に共通テストの対策はする必要はないでしょう。逆に。
共通テストの演習でどうしても点数が取れない場合、これまでの理解内容に重大な欠陥がある可能性があります。

(2)まだ数IIIを学び終えていない
COVID-19により、例年以上に授業が遅れているため、中高一貫校などと進度に大きな差がついてしまっています。
まず、授業で習った内容は必ずその場で理解するようにしましょう。放置しておくと、その後の受験勉強に大きな支障が出てしまいます。
特に、数IIIの最後の分野(微積分)は確実に入試本番で出題されます。この時期が一番の踏ん張りどころでしょう。
また、進度が早い学校との差を埋めるために、一刻も早く演習を始めるようにしましょう。
既に数IAIIBの内容であれば十分演習が可能です。数IAIIBの演習と数IIIの内容理解を同時並行で行うのが必須となってきます。
また、数IIIの問題演習においては、特に数Iと数IIで学んだ内容を用いる場面が何回もでてきます。
そのため、この時期に既に演習を始めておけば、今後数IIIの演習をする時にやや楽になります。

②理系国語について

理系の東大志望に多い悩みが、「学校で十分に対策してくれない」というものです。
これは自分にもあてはまることで、特に3年生になってからは授業でもほとんどセンター試験演習をしていた上、センター試験終了後の2次試験対策講座も国語は文系限定でした。
また、「どうやって対策すればいいかわからない」「苦手だけどどう克服すればいいかわからない」という人も沢山いると思います。
そんな皆さんの助けに以下の文章が少しでも助けとなれば幸いです。

二次試験に向けた勉強法ですが、「共通テストの勉強で十分」というのは全くのお門違いです。
記述力が強く求められるため、単に共通テストの対策だけでは「それっぽい解答」を書くことしかできません。
では、どのような勉強法がよいのか、自分の経験談も交えながら現代文と古典でそれぞれ説明します。

現代文

現代文については、自分で参考書を数冊買い、それに沿って演習するのを強く勧めます。
学校の教科書に沿った勉強だけでは、特に理系の場合は十分な力が付かないからです。始める時期としては、共通テスト直後では遅すぎます。今の時期からコツコツやっておくことをオススメします。2次試験への対策が、自然とセンター試験への対策にもなるからです。
それに、数学のように学校の進度といったものが現代文の場合は存在しないため、今から対策を始めても何も支障はありません。
(2年生以下の皆さんも、ぜひ少しずつやってみましょう!)

自分は、
(1)記述の手順がわかって書ける!現代文記述問題の解き方 「二つの図式」と「四つの定理」 浦 貴邑

(2)世界一わかりやすい 東大の国語[現代文] 合格講座 浦 貴邑

(3)ライジング現代文―最高レベルの学力養成 内野 博之
の3冊で学習を進めました。

一番最後の「ライジング現代文」は省略しても大丈夫だと思います(現代文を他の人より得点源にしたい場合はおすすめ)。
最初の2冊については、筆者が同じなので内容にもやや繋がりがあり、特に2冊目は東大入試の過去問に沿って解法の解説をしてくれているので、どちらもやるととても力になります。 

古典

古典についてですが、理系と文系ではやや出題内容に差があります。
出題される文章は同様ですが、文系で出題される難しい問題が理系ではカットされます。
そのため、東大入試とはいえ、実は難易度的には標準であることが多いです(東大の理系国語より、他の大学の文系国語のほうが難しいことがしばしば)。
また、特別な知識(いわゆる古典常識)も不要なため、対策を十分すれば満点に近い点数も期待できます。
それでは、どのように対策すればよいのかというと、とにかく文法・単語知識の定着です。
文法知識は文章読解の上では必要不可欠ですが、一度定着させてしまえば受験までずっと苦労することはありません。
逆に、曖昧なまま放置しておくと、永遠に曖昧なまま受験本番まで引きずることになります。
できれば授業でやった段階で定着させておくことが望ましいですが、今の時期であればまだ十分間に合います。
共通テストのことを考えると、この時期までに定着させられないとやや厳しいです。比較的短期間で定着させることが可能なので、ぜひ復習してみてください。

文法事項が身についても、単語の知識がなければほとんど読解はできません。
日本語でも、敬語とかの仕組みは分かっていても文章中の単語の意味を知らなかったら全く理解できませんよね。
どれだけ単語の知識があるかが、どれほど楽に読解ができるか、そして得点できるかに直結します。
自分はセンター試験3週間前から2次試験当日まで、毎日学校で購入した単語帳を1日1周以上するようにしていました。
意味が分からなかった単語には毎日印をつけることで、2次試験直前には「どの単語が苦手なのか?」がひと目で分かるようになっていた上、合計で100周近くしたのでかなり自信がついていました。
慣れてくると、20分もあれば1周できるようになるので、時間的な負担もそこまで大きくありません。
文だけみるととても大変そうな勉強法に見えますが、実際はそこまで大変じゃない上、かなり威力抜群です。
自分はセンター3週間前になってこの勉強法を始めましたが、皆さんには是非もっと前の段階からこの方法を実践してもらればと思います。

元々自分は国語が大の苦手で、全国模試でも国語は偏差値50を切っていました。3年生の東大模試でも、国語80点満点中15点〜20点くらいしか取れていませんでした。
ですが、これらの勉強法をやってみたところ最終的に2次試験本番では50点近くとることができました。
国語が苦手だという人も、ぜひこの勉強法を試してみてください…! 

長くなりましたが、今回お伝えしたことが少しでも皆さんのためになれば幸いです。今回書いたことについて質問などがあれば、FairWindの質問フォームからぜひ聞いてくださいね。

数年後、皆さんと東大のキャンパスで会えることを楽しみにしています。


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