【東大生に聞いた】自分の興味を探し続けて【工学部化学生命工学科】

地方高校生に追い風を

【東大生に聞いた】自分の興味を探し続けて【工学部化学生命工学科】

専門課程で学ぶ東大生の生の声をお届けする、東大生にインタビュー工学部編。ついに第3回を迎えました。
今回は、この方にインタビューをさせていただきました!

【プロフィール】※情報はインタビュー時のものです
・名前:Rさん
・学年:3年
・学部・学科:工学部・化学生命工学科


化学生命工学科ってどんなところ?

── 化学生命工学科とは、どんなことを学ぶ学科なんですか?

簡潔に言えば、化学全般分子生物学、それからバイオテクノロジーですね。

理学部が基礎、工学部が応用というイメージを持っている人もいると思いますが、化学生命工学科は応用だけでなく、基礎理論的なことも多少扱っています。

── それぞれの学問について、詳しくお聞きしたいです。

化学に関しては、「〇〇化学」という勉強は一通り全部やっていますね。高校で習うような有機化学無機化学もそうですし、大学ならではの物理化学量子化学高分子化学なども勉強しています。

分子生物学というのは、生物を細胞・分子のレベルで勉強するという学問です。DNAがどのように複製されるかといった小さな視点のものを学びます。逆に、胃や腸の働きといった大きな視点のものは学びません。

バイオテクノロジーは、聞いたことがある人も多いと思いますが、簡単に言えば生物のチカラを人間の生活に役立てようとする学問ですね。遺伝子組み換えなどもその一例です。

── どんなことを目的としている学科なんですか?

有機化学と生命工学の融合による新物質・新機能の創造というのが学科のコンセプトです。

化学生命工学科は名前の通り化学と生物をやっていて、化学の代表として有機化学、生物の代表として分子生物学やバイオテクノロジーを主に勉強します。

その2つの融合というか、お互いの足りないところを補ったり、良いところを取り入れたりして研究しているというイメージです。

有機化学では、生体内の優れた化学反応をお手本にして新しい反応を考えたり、複雑な触媒を開発して今までになかった反応を作ったりといったことを主にやっています。

生物では、化学の力を使って人間の生命現象を分子レベルで解明したり、そこに人工的な力を加えて、自然のものより良いものを作ったりします。自然のものより良いものというと抽象的なんですが、薬などを作ることが最終的なゴールになるかなと思います。

── なるほど……。研究室ではどんなことを学ぶんですか?

僕は4年から岡本研究室というところに配属されるんですが、生物も有機化学も両方やっているという化学生命工学科では珍しい研究室です。なぜ珍しいかというと、研究レベルになると生物か有機化学どちらかに偏ってしまうことが多いんです。

だから、化学生命工学科には生物と有機化学両方を扱う研究室が2つしかなく、僕が行く研究室はそのうちの1つになります。

具体的には、核酸医薬と呼ばれるDNAを応用した医薬品を作ったり、特殊なタンパク質を化学合成したり、特殊な化学物質を細胞内に入れることで生物の細胞の動きが見えるようにするイメージング技術を開発したりしています。

医薬品や特殊な生体分子をつくるために、化学を手段として合成するという感じですね。


迷いに迷った進路選択

── 理科二類の出身ということですが、高校時代はどんなことに関心があったんですか?

高校化学の有機化学は好きでした。大手予備校の難しい問題も解けて、面白かったんです。
ただ、特にやりたいことも見つからなかったので、進振り利用してやるぞ、という意気込みで東大に来ました。

機械系には興味が持てそうにないと思ったので理一は候補から外し、理三(医学部)も難しいなと思ったので、理二を選びました。

── そこから今の学科を選んだ経緯は?

やりたいことが見つかるといいなと思っていたのですが、見つからないまま進学選択の時期を迎えてしまい……。選ばなくてはいけないので、高校の時に得意だった化学系の学科を探しました。

「化学」と一言で言っても、理学部化学科、工学部の応用化学科、化学システム工学科など色々な選択肢があります。
「化学+何か」を選択しなくては絞れないなと考えたときに、「化学+生物」なら楽しそうだと思って、化学生命工学科を選びました。

── 他に迷った学科はありましたか?

理学部の生物化学科と 農学部の農2(応用生命化学・工学専攻)、薬学部です。

理学部は基礎理論があまり好きになれず、応用系がよかったのでやめました。また、農学部は生物系に寄りすぎていたので、候補から外しました。

薬学部はギリギリまで迷ったんですが、就職先が製薬会社などに縛られしまいそうだと思って。
その点、化学生命工学科は生物も化学も扱う分、製薬・食品系から化学系まで色々なところに行けるので、最終的に化学生命工学科を選びました。

── 実際に進学してみて、どうですか? 

うーん……あまり自分に合っていない学科を選んでしまったかもなぁというのが正直なところです。
本当は、生物の中でも人間の体や病気といったマクロな視点のものに関心があったんですが、化学生命工学科ではミクロなことを扱うので、少し違うなと思って。

授業で研究に役立つ論文を読めるなど、研究をしたい人にはとても向いている学科だと思います。

── 楽しそうと思って選んだはずが、少し違うなと思ってしまったんですね。


編入か院進か。2つの進路を見つめて

── 卒業後の進路はどのように考えていますか?

他大学の医学部に編入することを考えています。
編入試験の受験資格が得られるのが学士以降で、来年受験できるようになるので、合格したら編入しようと思っています。

一方で、編入試験に不合格だったら大学院の修士課程に進んで同じ研究室に入ることも検討しています。2つの選択肢を同時に考えている感じですね。

── 大学院にいくにも試験がありますよね。

そうですね。院試と編入試験の時期が同じくらいで、今僕がやっている学部の勉強が編入試験の範囲でもあるので、両方の試験の勉強を並行して進めています。

── 医学部に行こうと思ったのはなぜ?

生物はやりたいし、生物を工学的に見るのではなくて、医学として扱いたくて。また、このままの進路に進んでメーカーの技術職になるより、医者の方が向いてそうだし待遇も良さそうだなと思ったのも理由の1つです。


進学選択を使いこなそう

── 最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。 

頑張って、自分がやりたいことを見つけてほしいなと思います。

大学では、学部や学科など様々な選択肢があって、化学・生物と一言で言っても、理学部、薬学部、工学部など、色々な候補があります。
どの学部のどんな視点からその学問を学ぶのが自分に合っているのかというところまで考えて、学びたいことを見つけてください。

学びたい学問が見つからない人は、就職など、大学の先のことまで見据えて進路選択をするといいと思います。

やりたいことがないから進学選択制度のある東大に来るという人もいるかもしれませんが、進学選択はせっかくの機会なので、やりたいことがありすぎて決められないから進学選択を利用する、くらいの気持ちで東大を目指してほしいです。頑張ってください!


いかがでしたか?自分の進路にじっくり向き合うことの大切さが分かりましたね!
工学部編の最終回となる次回は、工学部建築学科のHさんのインタビューをお届けします。お楽しみに!

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