【浪人を経て東大へ】浪人時代の体験記

地方高校生に追い風を

【浪人を経て東大へ】浪人時代の体験記

はじめに

あなたは「浪人」ということに対してどのようなイメージを持っていますか? 一般的には現役合格について語られることが多いかもしれません。しかし、浪人だからこそ得られる経験もあります。そこでこの記事では、私が浪人を経験して東大に合格するまでの道のりを紹介しながら、浪人期に考えていたことを正直に綴ろうと思います。手本になれない部分もたくさんありますが、一つの浪人体験記として参考になれば幸いです。


現役での大学受験を終えて

初めての大学受験が明けた春先。合格者一覧の中に自分の番号はありませんでした。しかし、不合格を突きつけられた私は、正直涙も出ませんでした。自分の弱さなどずっと感じていたからです。十分な努力ができず、やるべきことをかなり残したまま受験に臨んだことに後悔がありました。本番も得意だった数学で失敗し、他の教科でもうまくいかず。不合格は当然の結果でもありました。そして、現役の頃はその弱さから、「このまま合格して大学でうまくやっていけるのだろうか」「まだやり残したことはある」といった思いがあり、合格が本当に良いものなのか、葛藤すら抱えていたのです。

そして直面した不合格。だったらもっと自分に磨きをかけるため「もう一度チャンスをくれ」と。その思いを胸に、浪人への覚悟はいち早く決めました。


再挑戦の第一歩

浪人生活を始めるとき、多くの人が予備校などの所属先を考えます。私も相当悩みました。百聞は一見にしかずということで、実際東京に赴いて駿台の体験授業を受けましたが、それでもなお地元に残るか東京で下宿するかで頭を悩ませ続け、行き詰まった私はここで初めて泣いてしまったのを憶えています。やはり受験とは辛さも伴うもの。それまでは実感のなかった「もう一年」という大きな選択を前にして、一度は屈してしまいました。

最終的には、家族や先生に相談しながら、長期戦を乗り越える上で自分の過ごしやすい方として、地元に残って新たな生活を始めることに決めました。このとき母校の先生がかけてくれた言葉を今でも憶えています。

大事なのはどこで勉強するかよりもどう勉強するかだ、と。

これは再スタートの覚悟を決める上で印象的な言葉でした。今でも思うことですが、何事においても主体性が鍵を握っています。特に受験において誰かに依存していては非生産的な結果しか生まれません。確かに勉強をする環境も非常に大事ですが、受験は自分の工夫次第で大きく変えられるということを、今この記事を読んでくれているあなたにも肝に銘じていただきたいと思っています。


自分と向き合う2度目の受験勉強

3月下旬、心機一転として地元の新たな塾に身を置き、もう一度合格に向けて進み始めました。しかし、ふりだしに戻ったわけではありません。浪人の強みは大きく3つあります。これまでの学力の積み上げが1年分大きいこと、現役で一度失敗を経験していること、そして失敗の原因となった弱点を補完するための時間が存分に与えられていること。これらの強みを活かせば、現役生よりも不利であることは決してないはずです。

しかし、浪人はそんなに甘くはありません。学力の積み上げがあると言っても、勉強の方向性がずれていては伸びが悪く現役生にあっという間に追い抜かされてしまうし、時間も適切に使わなければあっという間に過ぎていきます。浪人生が学力的にリードしているのは当然なので、もはや模試の判定にも安心できない世界でした。現役時にA判定を出していたので、浪人してからの記述模試ではA判定から下がれないと思っていました。そんな浪人期は、未習分野もなく生活スタイルも違う点で、現役の時とは全く違う一年になりました。

ここで、浪人期に行っていた勉強を記そうと思います。自習ベースの予備校だったのですが、その際に添削や映像授業を頻繁に利用していました。自分の間違い方の癖や答案における論理の不備などを指摘してもらえる添削は大切な武器になります。私は、主に過去問の添削を予備校の先生方にお願いし、浪人期は毎週取り組んでいました。加えて、英語は英作文の添削を秋以降集中的に受けていました。その他にも現役時から使っていたZ会も利用したりと、独りよがりの勉強にならないような工夫を心がけていました。また、映像授業も、自学自習だけでは身につかない考え方をプロから学べる点で強力でした。地方にいながらトップレベルの授業を受けられるのは現代の科学技術の恩恵ではないでしょうか。自分と向き合った勉強を大事にする一方で、プロからフィードバックや新たな知見を得ることは、長い受験勉強をする上でも安心材料となります。

ところで、時間を適切に使わなければあっという間に過ぎていくと書きましたが、私自身気の緩みはたくさんありました。予備校から帰った後、息抜きと称して無駄な時間を過ごしてしまったことは受験時代の後悔です。確かに、最適なペースで進み続けるのはとても難しく、だらけてしまうこともありますが、一生懸命努力をして臨んだ受験はきっと輝かしい思い出になります。未練のない努力をしてほしいということを、受験を終えた身として伝えさせてください。


迎えたリベンジの冬

私は長丁場の受験で勉強の方向性を見失わないように、長期的なスケジュールと、そこから割り出される日々のスケジュールを立てることを大切にしていました。しかし、一年間スケジューリングを行っていたものの、冬になっても完成には程遠く、課題を残したままセンター試験はやってきました。順風満帆に受験が進むとは限りません。ここまでくると、重視すべきは積み上げた学力よりも本番でいかに力を発揮できるかです。私は受験に対する不安や緊張はあまり感じないタイプだったのですが、一発勝負の試験で体調不良でダウンするのはなんとしても避けたい思いがあり、そういう意味での緊張を抱えて臨みました。これも母校の先生から頂いた言葉なのですが、私は、過度に緊張しないように「槍が降っても気にしない」精神を大事にしていました。センター試験の受験会場は自宅からだいぶ離れたところにあり慣れない場所でしたが、多少の緊張があっても緊張している自分を受け止めて落ち着いて受けきることができ、一つ大きな安心を得ることができました。

最後のセンター試験では、現役時より点数を伸ばし、東大の足切りも越えたものの、9割には届きませんでした。しかし自分は東大に合格する一心で受験をしてきたので、引き下がる意味もありませんでした。合格者のセンター平均点は9割と言われますが、実際は9割に届かなかった合格者も割といる印象です。根拠のない自信は盲進になりかねませんが、これまで培った自分の能力を信じて、怯まず強気でいることは私にとっての合格の秘訣でした。

センター試験が終われば東大への最後の道が始まります。去年と違ってここで勝負は決着。出した結果が次の進路。なんとしても勝たねばという気持ちは去年より強くなりました。現役の時よりもセンター利用を多く取り入れたり私大受験数を増やしたりと、浪人時は現役時より詰まったスケジュールでした。その分効率よく勉強すべきでしたが、要領の悪かった私は課題を計画通りに進められませんでした。やり残した勉強を仕上げるのが当初の目標だったのに、センター前と同様この時期でもやり残したことはたくさんあって、一年を後悔することもありました。でも腹を括らなければなりません。私は一年間、予備校で毎日現状報告の日記を書いていたのですが、東大受験のために上京する直前の日、覚悟をノートに宣言しました。

これまでに解いた問題を手にとって振り返ってみて、積み重ねてきたことの多さに気づきました。何もかもを完璧にやってきたわけではなく、できずに終わることもたくさんあります。でも、それもこの一年で自分がしてきた選択なので、自分自身で可能性を潰すことなく、最後は合格という“正解”を描けるようにしようと思います。

合格した今振り返ってみると、この言葉を記して良かったなと思っています。これまでの受験勉強の結晶として、最後に自信を繋いでくれた言葉でした。完璧な準備をして受験に臨める人はいません。そのため、できなかったことに目を向けて萎縮したり不安を感じるのではなく、これまでの自分の道のりを肯定的に認めてあげることが大切です。受験勉強をする上で周りの人に頼ることも時には必要ですが、本番で受験をするのは自分自身なので、自分なりの覚悟を持つことがとても大切なのではないでしょうか。

ここで、私が出願した併願校について少しお話しします。センター利用は、取りやすい理科大や明治大に加え、早稲田にも出願しました。結果として早稲田以外のセンター利用に合格しましたが、これらは東大受験前に合格が決まるので、取っておけば安心材料になるはずです。一般受験は早慶と明治に出願しましたが、センター利用の合格が濃厚だったこと、移動の負担もあることを踏まえて早慶の受験に絞りました。本命の受験に支障が出ないように併願校の受け過ぎには注意ですが、やはり本命の前に併願校を受験しておくのは良い練習にもなります。

東大入試本番。この時期はちょうど国内にコロナウイルスが現れ始めた頃なので、体調にはより一層の注意を払っていました。ただでさえ特別な場で、通常とは違った空気感がありましたが、試験も通常通りに運ぶわけではありませんでした。国語は時間が間に合わず、現役時と同じ過ちはしないと一年間注意し続けてきた数学で二の舞を踏み、理科も序盤から詰まり、英語でも挽回できるほどではありませんでした。1日目の夜は、澄ました顔をして実は不安を募らせていた気がします。2日目最後の英語でも、想定外に周りがペンを走らせる音が気になってしまいました。焦って問題に手がつかなくなりましたが、私は、その時取り組んでいた大問から一旦離れ、これまでにない解き順に舵を切って状況をたて直しました。試験ではこれまで通りの平常心で臨む一方で、臨機応変さも大切です。本番でのトラブルは即座に対応できるようできるだけ想定しておいた方が良いので、事前に対策を考えたり調べておくと安心ではないでしょうか。

色々ありましたが、かくして2度目の3月10日、東京大学への合格を果たしました。もしかしたら失敗していたかもしれないと思うと、改めて合格まで走り抜けられたことに感謝が溢れる一年でした。振り返ってみると、浪人の一年は長いようで意外と短く、自分にとっては一瞬でした。浪人に限らず今受験勉強を頑張っている方には、辛いことも乗り越えて、「今、ここ」を大切に合格への道を歩んでほしいと思っています。


浪人経験から得たこと

ここでは浪人経験から得たことを大きく二つに分けて示したいと思います。

  • 途中見出しにも掲げたように、自分と向き合うことは勉強に限らず大切です。受験勉強は、簡単に言えば「分からない」を「分かる」に、そして「分かる」を「解ける」に変えていくものです。自分がこのうちのどこに位置するのかを把握することは、やるべき勉強を決める上での基盤となります。例えば三角関数自体がよく分かっていなければ基本からやり直すことになり、三角関数の基本や公式の意味が分かっているもののいざという場面で運用できないのなら問題集で練習する、といったように立ち位置によって課題は違います。その位置を把握するための手段として有用なのが模試や添削です。実践的な場で自分が出した解答や第三者のフィードバックをもとに、自分が見えていなかった自分まで見つけ出し、成長へとつなげていってください。
  • よく「浪人生は伸びない」と言われますが、決してそんなことはありません。そのように言われるのは、実際に勉強量を増やしても実力が伸びないケースが多いからです。しかし浪人の一年間で大きく成績を伸ばす人もおり、私自身現役時は38点足りませんでしたが、浪人をして合格最低点を16点上回ることができました。点数は学力の本質ではないので証拠とするのもおこがましいですが、ここで言いたいのは自分次第でいくらでも成績を伸ばすことが可能だということです。成績を伸ばす具体的な方法は人それぞれなので、ここで明確な答えを呈示することはできませんが、迷った時には先達の様々な意見を参考にして自分なりの勉強を確立すると良いのではないでしょうか。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。私は一年浪人して東大に合格することができましたが、理論を積み重ねるばかりで行動力に欠けた人間でした。正直、もう一度同じ道を経て受験をしても合格する保証はないですし、もっと頑張ればよかったという後悔もあります。だからあくまで参考程度に留めてもらえると幸いです。むしろ大事なのは自分の生き方です。受験勉強、特に浪人となると辛いこともありますが、それを乗り越えた先には今よりももっと素晴らしい自分が咲くはずです。共通テストの導入や指導要領の改訂、そしてコロナ禍という新たな局面での受験が控えていますが、その状況で今できること、やるべきことを見つけて受験勉強に励んでほしいと思っています。

応援しています。

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