【東大生が教える】日本史の勉強法

地方高校生に、追い風を

はじめに

中学校で習う日本史に比べると、高校日本史の内容は格段に深く細かくなっており、学習に苦労している方も多いと思います。確かに暗記が多く大変な科目ではありますが、高得点をとることができるか否かで試験にも大きく影響する重要な科目です。

そこで、今回は日本史の勉強について共通テストや私大受験、二次試験のための対策にも言及しながらアドバイスをしていきます。


日本史を勉強する上で

これから日本史を学習していく人は、事前に日本史を概観できていると学習した内容が頭に入りやすくなります。

そこでおすすめするのが、「学習漫画日本の歴史」などの日本史を通史形式で描いた漫画を読むことです。漫画なので読み終えるのにそれほど時間がかからず、楽しみながら読むことができ、内容を吸収しやすいと思います。ただし、内容を「覚えよう」とするのではなく、あくまでざっくりと理解する姿勢が重要です。「覚えなければ」という意識があるとどうしても楽しむことができず、読むのに時間をかけてしまいがちだからです。既に高校で日本史を学んでいる人にもおすすめなので、ぜひ一度試してみてください。

そして、歴史はおもしろいと感じられると覚えやすくなるものなので、日本史は楽しんだ人勝ちだといえます。私が高校日本史を学習していたときは、教科書に載っている人物や出来事などについて、電子辞書に搭載されている百科事典やウィキペディアを使っておもしろいエピソードを探していました。皆さんも日本史の学習を楽しむ姿勢を持ち、工夫して学習すると良いと思います。


日本史の勉強の基本

1. 勉強法総論

どの教科にも通ずることではありますが、最も重要なことは授業をきちんと聞くことです。高校日本史の中には、教科書の記述がわかりにくく自力では理解が難しい事柄も多くあります。しかも、そのようなポイントに限って試験の頻出事項であることが多いです。授業では当然そのようなポイントを先生方が解説することになるので、それを聞き逃さないようにしましょう。また、わからないことがある場合は先生に質問をしてすぐに疑問を解消する癖をつけましょう。これを怠ると、理解できていないことが多いのに受験直前期になって気づき、結局それらを解消できないまま本番を迎えてしまう可能性が高くなるからです。

授業後の学習の流れとしては、まず最初に教科書の精読をすべきです。教科書の精読をすることで、歴史の流れや語句の定義、出来事の背景・意義・影響を掴みましょう。私大入試を除き、試験で解答となるものは全て教科書に書いてあるのでこの作業は非常に重要になります。教科書を精読した後は、単語のチェックをしましょう。この際、用語集をただ眺めるだけでは良くありません。日本史は漢字を含めて覚えなければならないため、書き取りをして漢字ミスのないようにする必要があります。一点を争う本番では漢字のミスが非常に痛い失点となることを心に留めておきましょう。学校で何らかの空欄補充問題集をもらっている人はぜひそれを活用してください。学校でもらっていない人も同じような問題集はたくさん市販されているので、それを購入することをおすすめします。

自分でまとめノートを作る人もいるかと思いますが、ノート作りは必要な労力が大きいので、時間の限られた高校生にはあまりおすすめしません。ただし、テストで間違ったポイントなどをまとめた復習ノートは、いつでもどこでもノート一冊で間違いを潰していけるのでとても便利です。

2. 分野ごとの勉強法

政治史

政治史では、各時代の統治機構をしっかりと理解しておくことが重要です。教科書には詳しく書かれているので、精読をして確実に押さえましょう。外交関係については、日本を取り巻く国際情勢もよく理解しておく必要があるので、世界史の知識が役立ちます。世界史を選択していない人は、日本の周辺国について成立時期・最盛期・衰退時期などの知識は最低限押さえておきましょう。また、近現代の政治史を苦手とする人は多いですが、それは近現代以前の時代の歴史に比べて、近現代を学習する時間が少ないことが大きな原因だと思います。それゆえに、時間的余裕がある人は、近現代史については授業前に教科書を読んでおくなど先取りをして授業に臨むと良いと思います。

経済史

経済用語については漠然とした理解で済ませてしまうことが多いですが、経済史を理解する上で経済用語は非常に重要なので、わからない用語は先生に聞いたりネットで調べたりしてしっかり理解できるように努めましょう。

社会史

町や村落の様相、庶民の生活などを扱う社会史も、内容が複雑なゆえに理解が疎かになりがちな分野です。しかし、近年この分野の研究が進んでいることもあり、入試では頻出の分野体的に理解していくことが良いと思います。

文化史

暗記の負担が重いため後回しにしがちですが、試験では文化史の問題で正確に答えられると周囲に差をつけることができます。文化史を学習する際は必ず資料集を手元におき、絵画・仏像などについては図版を見て用語と一致させましょう。また、文学作品についてはその作品の内容を少し知っているだけでもかなり覚えやすくなります。


日本史の入試対策

1. 共通テスト

受験生がするべきことはセンター試験のときと変わらず、試験までにしっかりとした理解に基づいた知識の吸収をすることです。ただし、問題傾向が変わるので問題演習は入念にしておく必要があります。直前期(試験の1〜2ヶ月前)にはインプットよりもアウトプットに重点を置き、その過程で知識に漏れがあったら潰すという作業を繰り返すことが効率的でおすすめです。

2. 私大試験

私大の日本史では教科書に載っていないマニアックな事柄が当たり前のように出題されます。とはいえ、問題の多くは教科書に載っている事項なので、まずは教科書の内容の吸収を最優先しましょう。全体的に難易度が高く他の問題での挽回がしにくい私大入試では、こういった基本問題を落とすと致命傷になりかねません。教科書に載っていない事項については、用語集や資料集に載っている知識の吸収に留めるべきです。深入りするとキリがないため、基本が疎かになってしまう可能性があります。

3. 国公立二次試験

東大

東大の二次試験の日本史の出題形式は他大学に見られない独特のものです。細かい知識は必要ありませんが、教科書を中心として学習したことを確実に理解していなければならないうえ、短時間で資料の読み取りを行い、厳しい制限字数に収まるよう解答をまとめる論理な力や文章力も問われます。また、古代・中世・近世・近現代から一題ずつ出題されるため、万遍なく勉強しておく必要があります。それゆえに、東大日本史には特に入念な過去問演習が必要になります。
演習を行った後には、高校や塾の先生に添削をしていただき、それを踏まえて解答を修正し自分で納得のいく答案を仕上げるという作業を繰り返すことが理想的です。もし、添削していただくのが厳しいのであれば、ネットや過去問集で公開されている各予備校の解答例を比較し、完璧な解答に必要な要素を拾い集めていく作業が有効だと思います。過去問に手をつけてしばらくは、制限時間を気にせずじっくり考えて解くのがおすすめですが、共通テスト終了後は時間を測って制限時間内に質の良い解答を仕上げられるように練習しましょう。
なお、駿台文庫の『日本史の論点』は論述に必要な視点を身につけることができる優れた参考書なので、ぜひ使ってみてください。

東大以外

東大以外の大学の論述問題は、短い問題文の指示に従って事実を並べていく形のものが多い印象があります。過去問が十分に手に入らない大学も多いので、似通った出題形式をとる他大学の問題に取り組むなどしないと十分な演習量を確保できない恐れがあります。制限字数が多く、書き始めると修正が難しい場合もあるので、あらかじめ論述の要素をまとめた簡単な設計図を書いてから清書をすることをおすすめします。
なお、前述の参考書『日本史の論点』は論述問題を課す多くの大学の対策として使えるものになっています。


おわりに

いかがでしたでしょうか?日本史は負担の大きい教科ではありますが、しっかりと取り組めば高得点を狙える科目でもあります。この記事の内容は私の経験から考えたことなので、あくまでも参考程度にしてください。人それぞれ合う勉強法と合わない勉強法があります。この記事に書かれたことを実践してみてももちろん良いですが、自分に合わないなと感じたらすぐにやめてください。自分で納得のいく勉強をすることが何より大切です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。