応用化学ってどんな学問?【東大工学部応用化学科】

地方高校生に、追い風を

1. はじめに

こんにちは!この記事では応用化学という学問について紹介しようと思います。一口に「応用化学」とはいっても非常に範囲が広いので、主に私の所属する東京大学工学部の応用化学科についての話になる部分もありますのでご了承ください……。
この記事では、応用化学がどんな学問であるのか、応用化学科がどんな学科であるのかをはじめ、大学の学問と高校の学問の違いなどについても少し触れていきたいと思います。学部選びに悩んでいる方などぜひ読んでみてください!


2. 応用化学とは

まずは応用化学という学問について紹介します。簡単に言うと、「応用」とついている通り、世の中に「応用」できる技術や素材などを化学を通じて開発することを目指す学問です。役に立つかどうか、コストや安全性などの面で実用可能かどうかが重要になるので、工学部のもとで学ぶことが多く、東大でも応用化学科は工学部に属しています。

応用化学は実学なので、自分の学んだ理論や紙面上の学問が、現実ではどのように活用されているのかについて興味のある人におすすめです。他にも、化学に興味のある人はもちろん、情報やIT系など実態の見えにくいものより「物質」を扱いたい人や、一般的にイメージされる科学者・研究者のような職業に憧れる人、世の中の役に立ちたい人などは、楽しんで応用化学を学べると思います。

ここまでの説明を読んでわかったかもしれませんが、非常に幅の広い学問なので、化学方面に興味があるけどいまいち自分の興味が定まらない……。という人にとっても、化学を幅広く学べるという点で良い学問だと思います。


3. 応用化学科での勉強

次に、工学部応用化学科がどのような学部であるかを紹介していきます。先ほども述べた通り、応用化学は化学一般を扱うので、座学で学ぶべきことが非常に多いです。以下に例として、応用化学科で私が学んでいることをいくつかあげてみます。

・高校範囲の延長の学問

応用化学は実学だと言いましたが、そうはいっても「応用」するためには「基礎」も重要です。応用化学科においては、化学の基礎を満遍なく知っておく必要があるので、無機化学や有機化学、化学反応論、高分子化学など高校範囲で習ったような分野をより専門的に学んでいきます。

例えば有機化学では、高校化学ではどんな反応が起こるかなど丸暗記しないといけない部分が多いと思いますが、大学で分子の構造を詳しく学んだり、電子の動きから化学反応を捉えたりすることである程度理論的に反応を説明することができます。また、実際の研究では反応機構をどのように突き止めているのかなど、実用的な知識も学んでいきます。

・より実学的な化学分野

高校範囲の延長に加えて、より実学の要素が強い学問も学びます。
例えば、未知の化学物質の分析方法についての学問である分析化学などがその一例です。赤外線やX線を使ったり、電極を利用したりと、様々な方法で分析が行われているので、その原理と応用方法を学びます。

高校化学では未知物質を扱うことをあまり想定しないと思うので、あまりピンとこない方も多いと思いますが、研究の場ではこの分析化学がかなり重要です。例えば未知の化学反応を発見したとして、結果的に何がどのくらいの割合でできたのかを確かめられなければ論文は書けませんし、応用もできません。つまり、分析化学は応用のための学問と言うことができるため、これは実学だと言うことができます。一方で、分析化学では、何に着目して物質の濃度や構造を調べるかが重要なので、現在では様々な観点からの分析方法が考案されており、実学としてだけではなく純粋に学問としても楽しめます。原子同士のミクロな結合や振動に着目したり、分子の質量で分類したり、分子の作る磁場を利用したりと、高度な理論に基づいて分析機器が作られたりしているので、勉強のしがいがあると思います。

また、工場や反応器(リアクター)での化学反応効率などを議論する学問である化学工学などもあります。これは特に企業に就職した後に役立つ学問です。化学反応に伴う熱の出入りなどは高校範囲でも扱うと思いますが、実際に工場でその化学反応を起こすとなると、キログラムやトンの単位で物質を反応させることになります。すると反応に伴って発生する熱の量は膨大になってしまい、一歩間違えれば爆発や火事を引き起こしてしまうこともあります。ここまで極端な例でなくても、反応器の形や反応条件によって反応効率に大きな違いが出ることもあります。このように、実際に化学反応や物質の分離を工場のスケールで行うことを想定し、安全な、効率的な化学システムの設計を目指す学問を化学工学と言います。学ぶことが実際にどう生かされているか見えやすい学問なので勉強していて面白いと思います。

・融合分野の学問

上で述べた化学系の分野の他にも、物理の範囲も融合した熱力学や物理化学、ミクロな世界の力学を扱う量子化学、微分方程式やフーリエ変換などを学ぶ実用的な数学、化学反応や分子構造のシミュレーションなどに使うプログラミングの知識……、というように、化学に限らず幅広く様々な学問に触れることができます。高校の理科では物理・化学・生物というように分野がはっきり分かれていると思いますが、大学では学問分野の境界が曖昧になっていきます。例えば化学を突き詰めていくと物理の知識や理論が必要になる、といったようなことが多々あるので、化学に興味があるからといって他の教科や分野をないがしろにせず取り組んでみるといいと思います。

上では座学を紹介しましたが、もう一つ高校での勉強と違うところは、実験が本格的なところです。これは理系学部一般に言えることなのでおまけ程度に書きますが、高校の時よりも予習をしっかりしたり、レポートも本格的に書くことになるので、理論と現象が結びついて楽しいと思います。私が履修したカリキュラムでは、有機化学、分析化学についての実験と、プログラミングを中心としたコンピュータ演習に取り組みました。本格的な実験は4年生になり研究室に入ってからですが、学生実験でも十分に実験の基本は学べると思います。


4. 最後に

長くなってしまいましたが、述べてきた通り応用化学科は化学と化学にまつわる融合分野を幅広く学べる学科です。実社会での研究の場で活躍するために必要な知識をたくさん得られるので、少しでも化学に興味のある人はぜひ検討してみてください!

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