都市計画の世界へようこそ!【東京大学工学部都市工学科都市計画コース】

地方高校生に、追い風を

はじめに

みなさんこんにちは!工学部都市工学科都市計画コース4年の齋藤と申します。私からは東大工学部、そして都市工学・都市計画についてみなさんにお伝えしたいと思います。現時点で興味がある人もない人も、是非一読していただけると嬉しいです。


東大工学部とは?

東京大学工学部は全16学科からなり、1学年約1000人を抱える東大の中で最も大きな学部です。機械系や化学系、建築系など幅広い学問分野を扱う学部であり、一口に東大工学部と言っても学科によって学んでいることは全然違います(詳しくは工学部のホームページをご覧ください!)

私が所属している都市工学科は、建築学科、社会基盤学科と共に、工学部の中では建築系としてまとめられます。3学科とも私たちが暮らす”まち”を構成する様々な要素について学び、研究する学科となっており、建築学科はその名の通り建築を、社会基盤学科は道路や橋などの社会基盤(インフラ)を、そして都市工学科は都市そのものを主に扱います(詳しくはリンク先の各学科ホームページをご覧ください!)。それぞれの学科が扱う分野はお互いに関連することもあり、学科をまたいで授業を受けに行くこともしばしばあります。


都市工学科とは?

ここからは私が所属する都市工学科について詳しくご紹介していきます。都市工学科は「都市計画コース」と「都市環境工学コース」の2つのコースに分かれています。多くの人は理科一類から進学していますが、文系科類を含む他の科類からも一定数進学しています。個人的な印象ですが、他の工学部の学科に比べて文系出身者が多いように思います。

都市計画コース

都市計画コースは、都市計画や都市デザイン、交通、住宅、防災など都市空間そのものや都市を構成する様々な要素を扱っています。詳しくは後述します。

都市環境工学コース

都市環境工学コースは、大気汚染や水質汚濁、廃棄物など都市の環境問題を構成する様々な要素を扱っています。授業ではそれぞれの要素についての基礎知識から現在に至るまでの歴史や対策、これから期待される解決法などを学んでいきます。また、実験演習では様々な物質の測定・分析などを行い、実際の現場で使える技能も身につけていきます。


都市計画コースとは?

ここでは私の所属する都市計画コースについてさらに深く迫っていきたいと思います。

授業について

2年生の秋から本郷キャンパスで学科の本格的な勉強が始まり、4年生の夏までの2年間で都市について研究していく上での基礎知識を授業を通して獲得していきます。計画論について学ぶ「都市計画概論」、デザイン論について学ぶ「都市デザイン概論」、公園など緑地について学ぶ「緑地計画概論」、都市交通について学ぶ「都市交通論」、都市防災について学ぶ「都市安全計画」、広域的な計画について学ぶ「広域計画」など、幅広い分野に関する授業が開講されており、これらの授業を通して都市を見て分析する目を養っていきます。また、都市計画に関わる法律を学ぶ「都市・まちづくりと法」、歴史から様々な思想を学ぶ「都市計画史」といった授業を通して、都市計画を考える上で必要なルールや思想も学んでいきます。そして、一通り基礎知識を身につけた4年生の秋以降は、卒業論文に向けて研究を集中的に進めていきます。

ここまで読んだ人の中には、「工学部なのに文系っぽくない?」と思った人もいるのではないでしょうか。実際、理系学部の中でもかなり文系によっているのがこのコースの特徴で、『文科四類』と比喩されることもしばしばあります(笑)。こういう特徴があるために、文系出身者が多いのではないかと思います。とは言っても理系学部なので、都市を分析する上での数理的手法を学ぶ「都市工学数理」など、理系っぽい授業も開講されています。ただ、多くの授業は理系的知識を必要とせず、数理系の授業も難しい計算をするわけでもないため、文系出身者がついていけないということはありません。安心してください。


演習について

都市計画コースの授業の中でも、唯一の必修科目となっている授業が「演習」と呼ばれる授業です。この演習では、実際の敷地を対象とした都市空間の設計や、実際の自治体・エリアを対象とした都市計画マスタープランの策定を通して、都市計画に関わる上で必要になってくる技能を身につけていきます。自分の手を動かしたりグループでの議論を行ったりしながら、その土地に暮らす人やライフスタイルをイメージして一つのものを作り上げていくのがこの演習の特徴です。自分たちの考えを突き詰めながら実際のものに落とし込んでいくため、多くの人がかなりの時間を演習に費やします。模型製作や発表準備のために泊まり込んで作業することもしばしばあり、周りからは”ブラック学科”と揶揄されることもありますが、やっている本人たちは作業を通して自分のイメージがどんどん具体的な形になっていくので割と楽しんでいます(笑)


研究について

4年生になると、学生は研究室に配属され、卒業論文に向けて1年かけて準備をしていきます。前期で研究の道筋をたて、後期でゴリゴリと研究を進めていく形になります。

都市計画コースには「都市計画」「都市デザイン」「地域デザイン」「環境デザイン」「まちづくり」「住宅・都市解析」「都市交通」「国際都市計画・地域計画」「都市情報・安全システム」「空間デザイン」の全部で10個の研究室があります(空間デザイン研究室は厳密には大学院新領域創成科学研究科の所属です)。授業では各分野を総合的に学んでいましたが、研究室は各分野について専門的に深く研究する場所になっています。各研究室は数名の教員と学部生、修士課程・博士課程の大学院生によって構成されており、学科に比べて教員との距離が近いことが特徴です。

ちなみに私は都市情報・安全システム研究室に所属しています。この研究室は主に都市防災に関する研究を行っており、災害に対して都市がどのようにあるべきか、被害を抑えるために都市計画はどうあるべきかについて日々考えています。


進路について

工学部はほとんどの学生が大学院に進学します(最も進学率が高い機械情報工学科はなんと進学率98%!)が、都市計画コースの大学院進学率は6〜7割とやや低めになっています(ちなみに都市環境工学コースも同じくらいです)。大学院は工学系研究科都市工学専攻のほか、新領域創成科学研究科や情報学環・学際情報学府を選ぶ人もいます。就職先は国家公務員や地方公務員、不動産・デベロッパーといった民間企業が多いですが、コンサルタントや金融関係などその幅は多岐にわたっています。


おわりに

ここまで都市工学科・都市計画コースについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか? この学科・このコースは、私たちが日々暮らしている”まち”について深く考えていくことができるところになっています。拙い文章でしたが、興味を持っていただけたら嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
(執筆:2019年)