理科の科目選択を考えよう

地方高校生に、追い風を

はじめに

「理系に決めたのはいいけど、理科の科目選択はどうしたら良いんだろう……」

そう悩んでいる方はかなり多いのではないでしょうか。僕自身も高校生の頃は選択科目がなかなか決められず、「生物・化学」の2科目に決定するのにとても苦労しました。

そこで今回は、少しでも皆さんの選択の手助けとなるよう、科目選択のやり方についてまとめました! 
結論から言うと、

①将来の夢に近い科目を選ぶ

②自分の好きな科目を選ぶ

③志望校に合わせる

④進路に合わせて戦略的に考える

の4つの基準で検討していくと良いでしょう。以下ではそれぞれについて詳しく解説していきます。志望校が決まっている人にとっては③が最優先ですので、①、②は読み飛ばしてもらって構いません。そうでない人はぜひ最初から読んで、科目を決める参考にしてみてください!


①将来の夢に近い科目を選ぶ

「志望校までは決まっていないけれど、将来の夢はなんとなく決まっている」という人もいるかもしれません。そんなときは、自分の夢と関わりの深い科目を選ぶことをおすすめします。

例えば、医療や薬学、看護などの保健分野や農学分野には、生物や化学が深く関わっています。また、理学や工学といった分野には、物理や化学が深く関わっています。一つの分野の中でも細かく見ると別の科目が関わっていることもあるので、ぜひ自分で調べてみてください。

自分の選んだ科目が志望分野と同じであれば、その科目が大学の入試科目に当てはまっていることが多いので、志望校が変わった時でも対応しやすくなります。また、自分の夢に近づくための勉強ができますし、進学先の授業にもついて行きやすくなるはずです。

ただし、その分野と関わりの深い科目と入試科目は一致しないことがあります。医学部医学科はその良い例で、物理・化学でしか受験できない大学もあります。ですから自分の目指す分野によく合うような大学をきちんと調べた上で、他の要素も併せて考えながら選択科目を決定しましょう。


②自分の好きな科目を選ぶ

皆さんの夢によっては、選びたい科目が一つに定まらないこともあるかもしれません。また、自分の夢が決まっていない人もいるでしょう(僕も当時はそうでした)。そんな人は「自分が一番好きだ」「魅力的だ」と思える科目を選んではどうでしょう。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、まさにその通りです。自分の好きな分野であれば苦にせず楽しく勉強できますし、そうすれば上達は早くなるでしょう。将来の夢も、自分が楽しいと思えるものから見つけられたら素敵ではありませんか?

そうはいっても、「それぞれの科目がどういうものか分からない!」「好きな科目なんてない!」という人もいるでしょう。そこで、僕の主観と友達の話から地学以外の3科目の魅力を下にまとめてみました! ぜひ参考にしてください!

物理

物体の振る舞いを主に扱う分野です。物体の質量や位置、エネルギーなど様々なものを数値化し、数式を用いて計算するので、数学との深い関わりがあります。与えられた条件から自分で答えを導き出したときには、大きな達成感を味わえます!

便利な道具や機械の開発など様々な技術を支える学問であり、量子コンピュータの開発やブラックホールの謎のようなロマンあふれる最先端の研究に直接繋がる学問でもあります。

化学

原子や分子のような粒子に注目します。理論化学・無機化学・有機化学の3つに分かれ、それぞれ特色が大きく異なります。理論化学では物質の一般的な性質を学び、そこから反応や数値を導き出します。無機化学や有機化学では自分たちにとって身近な物質の性質を学ぶことができ、特に有機化学では実験結果から分子の構造を導く、パズルのような面白さがあります!

製薬や素材開発などの分野のほか、実は生物学や物理学の分野にも深く関わっています。

生物

DNAやタンパク質のような生物を構成するミクロな物質から、生物の進化や生態系のようなマクロなものまで幅広く扱います。自分自身の体の仕組みや身近な動植物の仕組みを学べること、そして進化や分類から生物全体の壮大さや人間の相対的な位置を感じられることがとても魅力的です!

私たちが毎日口にする食べ物を作る農学や、病気や怪我の際にお世話になる医療などに関わる、必要不可欠な分野です。


③志望校に合わせる

もし自分の進みたい大学が少しでも決まっていたら、必ずその大学の入試科目を調べておきましょう。

例えば東京大学の理科Ⅰ〜Ⅲ類は、物理・化学・生物・地学のうち好きな2科目で受験ができますが、実はこれは少数派です。多くの大学では学部学科ごとに、選べる科目の種類や数が決まっています。中には生物に関わる分野なのに物理・化学の2科目でなければ受けられない、というような学科もあるので要注意です! 第2志望以降もきちんと調べておくと良いでしょう。

理科2科目を必要とする大学では、地学以外の物理・化学・生物のうち2つを組み合わせて受けることが多いです。その中でも1番受けられる大学の多い組み合わせは「物理・化学」で、次に多いのは「生物・化学」です。志望する学部学科が決まっていない人は物理・化学を選択するのが無難だと言われることがありますが、これがその理由です。


④戦略的に考える

できれば自分が本当に好きだと思える科目を選びたいところですが、自分の得意不得意や入試での有利不利を考えて戦略的に科目選択をするのも一つの手です。それに関する情報もまとめたので、参考にしてみてください。

物理

理論を正しく理解すれば問題が解けるので、3科目の中で特に少ない暗記量で受験に挑むことができます。暗記が少ない分多くの演習が必要で、数学が苦手な人にとっては難しく感じるかもしれません。入試問題では問(1)が解けないとその先も解けないといったことが起こり得ますから、「満点も0点も取りやすい科目」だといえます。実際に入試の平均点を比べてみると、生物よりも高いことが多いです。

化学

入試科目に化学を課す大学は多く、高校で履修する科目としても化学が必須となっていることがよくあります。計算と知識が両方求められるので難しく感じるかもしれませんが、演習と暗記を並行して進めていくと良いでしょう。大学進学後も様々な分野で必要となるので、選択して損のない科目です。

生物

物理や化学と比べて圧倒的に計算が少なく、単語を答える問題や考察問題が主です。考察問題に答えるためには、単なる用語の暗記だけでなく生物の仕組みについての正確な理解が求められます。東京大学など、大学によってはとても長い問題文を読まされることがあり、数学的な能力が必要な物理に対して、生物は国語能力が必要だと言えるかもしれません。きちんと覚えることを覚えておけば、実力より極端に低い点数をとることはないでしょう。物理や化学と比べて塾のサービスや問題集の充実度が低いという短所もあるので注意しましょう。


おわりに

皆さん、どうでしたか。どのように科目選択をしたら良いのか、少し方向性が見えてきたのではないでしょうか。科目選択は今後の人生を左右するとても大事なものです。この記事だけではなく、学校の先生やご家族とも相談しながら、よく考えて決定してください。皆さんの選択によって、今後の勉強がより有意義になることを願っています。