【私が東大を選んだ理由】自分のための進路選択をしよう

はじめに

こんにちは。記事を読んでくださり、ありがとうございます!

この記事では、

  • 大学を選ぶ際に考えるべきポイント
  • 私が東大を志望したきっかけ
  • その後の葛藤と乗り越え方

をお話したいと思います。

この記事を読んでくださっている方の中には、

  • なんとなく東大/他の大学に興味があるが、はっきりとした志望動機がない
  • なんとなく東大/他の大学に興味があるが、志望を最後まで貫ける自信がない
  • 興味のある大学はあるが、こんな理由で選んでいいのかわからない
  • そもそもどうやって大学を選べば良いのか分からない

といった方も多いのではないでしょうか。

そんな皆さんが少しでも自分の選択に自信を持てるヒントになれたらと思います。

大学選びのポイント

早速ですが、皆さんは志望校を選ぶ時にどんなことを意識しているでしょうか。

まずは「偏差値」「知名度」などがぱっと思いつくでしょう。

多くの大学の入試には学力が求められる以上、学校や塾でも偏差値を踏まえた進路指導が行われると思いますし、実際に高2、高3と学年が上がれば上がるほど、偏差値は志望校選びに欠かせない要素になってきます。逆に、まだ低学年の方であれば、そんなに偏差値にとらわれなくても大丈夫かもしれません。

知名度で大学を選ぶことは、時に批判されたりもしますが、私は全く問題がないと考えています。

以前、FairWind メンバー 50 人を対象に、複数選択式で行った調査では、東大の志望理由の一つとして 36 人が「日本で一番の大学だから」、18 人が「知名度が高いから」というものを回答していました。とはいえ、多くの人にとっては知名度やネームバリューは入口に過ぎず、それ以外にも様々な動機をもって入学していることも分かりました。

そうはいっても「この大学に入れたらかっこいい」という強い気持ちはモチベーションの維持にも繋がるでしょうから、その気持ち自体を否定する必要はありません。そうして知名度を理由に興味を持った大学・学部に対しても、いつの日かそれ以外の志望理由を見出せるようになれば十分だというのが、私の意見です。

続いて思い浮かぶのは「大学で学べる内容」「校風」でしょうか。

同じ名前の学部や学科でも、強い分野や卒業生の就職先などは大学によって大きく異なります。

また、大学に校風というものはあり、自分の性格に合った学校を選ぶことで、楽しいキャンパスライフを送ることができるでしょう。

大学生活や就活なんて「まだ先のことすぎて分からない」と思うかもしれませんが、学びたい内容やなりたい職業、理想の大学生像など、少しでも自分の将来に関してビジョンがあるのならば、それに適した大学を探してみるのも大切だと思います。

譲れない条件としては、「学費」や「立地」なども挙げられますね。

私立大学の学費を捻出できるか、一人暮らしをさせてもらえるか、といったことは重要なポイントですので、早めに保護者の方と話し合ってみると良いですね。

ちなみに、後で私の体験談として述べますが、必ずしも保護者の方と意見が一致しなくても、取れる選択肢はあると思います。

私が東大を選んだ理由

ここからは私が東大を選んだ理由についてお話します。

私が東大を志望したのは、上に述べたいずれの理由でもなく、「所属する学部・学科を大学入学後に選ぶことができるから」というものです。

高校生の頃からやりたいことは明確に決まっていたのですが、大学入試の段階では自分で自由に進路を選ぶことが難しい状況だったため、このようなことができる大学として、東京大学を受験することに決めました。

どういうことか、次の章からもう少し詳しくお話していきたいと思います。

親と先生の勧めで東大に興味を持つ

初めて東大に興味を持ったきっかけは、高1の頃に、両親から強く勧められたことでした。

親は以前から私が工学系の道に進むことを強く期待しており、それと当時は良かった成績も相まって、東大の理科一類を受験することを強く勧められていました。

もともと裕福な家庭ではなく、一人暮らしや私大への進学は不可能でしたし、東京の国公立大学で他に強く惹かれる学校もなかったので、東大受験に異論はありませんでした。

ところで、実は私には以前からなりたい職業があり、そのために工学系ではない学部に進みたいという希望がありました。しかし、両親はその選択を許してくれず、私はひとまず進学希望調査に「東京大学理科一類」と記入して提出したのです。

モチベーションと成績の急降下

決して自主的とは言えない理由で東大を目指し始めた私ですが、「東大に行けたらかっこいいな」という気持ちは本心だったので、高2になってからも東大志望は継続していました。

ところが、勉強の内容が段々と難しくなるにつれ、やはりどうしても楽しんで勉強することができない日々が続きます。

さらに「何のために勉強するのか」を見出せなくなったため、モチベーションも急激に下がり、忙しい日々の中で勉強時間を確保することが難しくなってきました。

こうして、高2になってから半年の間に私の成績はみるみる低下し、高1の時には射程圏内だった東大がどんどん遠ざかってしまいました。

高2の秋には、塾の先生にも「東大は諦めた方がいい」と説得されましたし、誰の目から見ても東大合格は無謀だったのだと思います。

「なぜ東大に行くのか」自分なりの答え

このような状況に陥って初めて、私は「何のために勉強して大学に行くのか」ということを考え直しました。

このままでは、東大に合格しても、他の大学に進学したとしても、私に残された道はあまり興味のない工学系の学部に進むことだけです。そのために必死に勉強する価値はあるのだろうかと、自分に問いかける日々が続きました。

そこで、東大を含む色々な大学を一から調べ直すうちに目に留まったのが、東大の「進学選択」という制度でした。

「進学選択制度」とは

大学2年生の夏に3年生から所属する学部・学科を決められるというもの。

それまで1年半の間は「文科○類」「理科○類」という大まかな「科類」に所属して、進学を希望する学部の学問に触れ、自分が本当に興味のある分野を探すことができる。

メリット:

  • 様々な学問に触れ、知識を持った上で自分の進路を決めることができる
  • 進路選択のタイミングを先送りにできる

デメリット:

  • 成績順に進学先を選べるため、成績が悪いと希望学部・学科に進めない可能性も
  • 専門的な内容は2年秋から学び始めるため、他大学と比べて学習期間が短い

より詳しく知りたい方は 進学選択の記事 がおすすめ!

元々この制度のことは少し知っていたのですが、以前の私は「理科一類にいったら、工学部と理学部のどこかの学科を選べる」という程度の認識しかしていませんでした。

しかし実際には、どの科類からでも様々な学部・学科に進むことができ、大学に入学した後も、幅広い選択の余地を残してくれるというものだったのです。

そこで「東大に進学すれば、自分の意志で進路を選び直す機会をもう一度得られるのではないか」という考えが浮かびました。

勿論、そんなことのために東大に行くくらいなら別の大学・学部を受ければいいわけで、一般的に言えば馬鹿げた動機かもしれませんが、当時の自分にとってやりたいことができる道はこれしかなかったのだと思います。

この、自分がやりたいことをやるために、進学選択制度のある東大を受ける、という決断は、予想以上に私のモチベーションを高めてくれました。

東大でなければダメな理由ができたことで「多少妥協してもいいか」という甘えも吹き飛びましたし、自分が勉強を頑張るという努力が将来の幸せに繋がるという確かな実感が得られたからです。

「周囲の勧め」「知名度」といった要素が大学志望のきっかけになるのは悪いことではないと思います。

しかし、多くの人にとって受験勉強、受験生活は決して簡単で短いものではないはずですから、それを乗り越えるためには何かしら自分の未来に繋がる理由があると良いと思います。

今、振り返って思うこと

こうして理科一類を志望し、無事に合格し、1年半を過ごした後、私は高校生の頃からやりたかった学問を専攻することに決めました。

1年から2年夏までの時間、工学系を含む様々な系統の授業を受け、自分の興味や適性と照らし合わせた上で納得して出した決断です。

この結果を踏まえると、やはりやりたいことまでの道を遠回りしているわけですから、勿論それなりのデメリットもあります。

親の反対を押し切って進学したわけなので、親から経済的支援を受けられず、自分で学費を捻出する必要もありますし、マイナーな道を選んだことで、今の学部で1年半のビハインドを背負っているという意識も多少は残っています。

しかし、この道を選んでいなかったら、必死に勉強して東大に合格することもできなかったでしょう。親の勧めに従っていれば、今頃どこか別の大学で、興味のない学問を漫然と、受け身で勉強していたかもしれませんし、従わなければそもそも大学進学すらできなかったかもしれません。

それに、今の専攻を学ぶ中で、理科一類にいたことがプラスに働いていると感じることも沢山ありますし、マイナーなバックグラウンドを持っているということが、自分の希少価値を高めてくれる場合もあります。

そう考えると、決断のタイミングをある程度自立できる大学生まで引き伸ばし、適切なタイミングで人生の舵を切ったのは正解でしたし、これまで遠回りしながら歩んできた道も、決して無駄ではないと信じています。

人生の中で色々な制約があって思うようにいかないことは沢山あります。それらの制約の中で取りうる最適な選択肢を、その場その場でしっかり選び取ってきた結果が「今」だと思っています。

おわりに

私の体験談そのものは、決して多くの人が経験して共感できるものではなかったかもしれません。
それでも、

  • きっかけはどんなことでもいい
  • 大学を志望するのに「相応しくない」理由なんてない
  • 厳しい道を乗り越えるためには、自分自身のための確固たる理由を見つけることが大切

というメッセージが伝わっていれば嬉しいなと思います。

志望動機が「学ぶ内容」であろうと「大学の制度」であろうと、はたまた「知名度」であったとしても、それが自分の人生においてプラスになるのなら、そして長く険しい受験勉強の原動力になるのなら、それで十分だと思います。

大学受験は、自分自身の未来を切り開く1つの大きな分岐点です。そのチャレンジを、自分が幸せになるためのチャンスに変えていってほしいと思います。

皆さんの決断と、その先に続く頑張りを、遠くから応援しています。