地方出身女子の生の声

はじめに

こんにちは。理科一類1年のT.S. です。

今回は、「地方公立高校から一般入試で東大に入学した女子学生」という立場から記事を書かせていただきます。

私自身、高校時代には地方女子だからこその悩みを持っていたので、同じような境遇の方の参考になると嬉しいです。

同じ境遇の仲間を求めて

私の出身高校は、毎年7人程度が東大に合格する地方公立高校です。

地方であることで学習の進度や情報量で都会の高校生には遅れをとっていることは認識していたので、高1のころから周りの人に話を聞いたり、インターネットで合格体験記を読み漁ったりしていました。

ロールモデルとして、過去に地方から東大理系に進学した女子の先輩の話を参考にしたいと思い、インターネットで色々調べてみましたが、なかなか見つかりませんでした。

担任の先生に相談すると、「うちの学校から東大理系に現役で合格した女子は見たことがない」と言われました。

毎年少なからず東大理系への進学者がいるのにもかかわらず、先生が知らないということに驚きましたし、改めて女子の少なさを実感しました。

そして、そのレアな女子になってやろうではないかと強く思いました。

受験勉強を経て、東大でFairWindという団体に入り、自分と同じように地方から進学した女子は、私が思っていたよりもたくさんいることが分かり、私の悩みは正しい情報があれば解消されていたものだと知りました。

ですが、地方の高校生にとって、東大内部の情報を手に入れるのは難しく、知る機会も少ないです。

高校生の頃の私と同じように不安や孤独感を感じている高校生には、大丈夫、仲間はたくさんいるよと伝えてあげたいです。

悔しさをばねに

私は高校入学当初から東京大学を志望していました。

学校の男女比は半々でしたが、難関大学を目指す塾の理系クラスは男子20人くらい、女子2、3人という状況が当たり前でした。

塾ではいつも少数の女子で固まって話していたけれど、東大を志望する女子は私1人でした。

だから、分からない問題があったときや、東大志望特有の悩みを持ったときは、先生に相談するか、自分一人で解決するかで、あまり友達と勉強に関する悩みを共有することがありませんでした。

一方で、私はそのような環境に慣れていたことと、マイノリティーであることに対して逆に特別感を感じていたことで、その環境を苦に思うことはあまりありませんでした。

理系女子が少ないからこそ、先生方に目をかけてもらえたり、模試でいい成績をとったときには褒めてもらえたりして、嬉しかったです。

ただ、私の周りの人たち、特に年配の先生や親戚は、「女子は勉強ができない」という考え方を持っていたように思います。

実際に、ある先生に模試の成績を見せに行ったときに、「やっぱり女子って勉強苦手だよね」と言われたことがあります。

確かに男子のほうが理系科目が得意な人が多く、模試の成績上位者はいつも男子が占めていましたが、私は女子というくくりでひとまとめにされて、そのように言われるのが悔しくて悔しくて、男子たちに負けまいと必死で勉強しました。

そして、男子に対する競争心が、いつのまにか私の中で勉強へのモチベーションになっていました。

大好きな大学生活

東京大学に入り、女子が一層少ない環境でやっていけるのか不安はありましたが、クラスの男子は皆優しく、気軽に話せるし、遊びに誘いあう仲です。

大学生になってから、地方出身だから、女子だから、などといったことで悔しい思いをしたことは一度もなく、むしろ、自分の出身地域のことを話すと興味深そうに聞いてくれるのがとても嬉しいです。

男女かかわらず、学業面でも人格面でも尊敬できる人が多く、毎日刺激をもらっています。

また、勉強のことで相談できる女子が周りにいなかった高校時代と違って、クラスには、勉強のことはもちろん、なんでも話せる女子友達ができて、とても新鮮な気持ちです。

今では、東京大学に入ってよかったと心から思います。

おわりに

それぞれ悩みは違うにしろ、みんな悩みは持っているものだと思います。

私が高校生の時には、関東の大学に行きたいのに、親が家から通える大学しか許してくれない子や、金銭的な理由で、前期の大学に落ちたら就職しないといけないといった悩みをもつ子がいました。

また、地方ではいまだに「女子は地元に」「女子は浪人までする必要はない」といった固定観念が残っているところがあります。

それぞれの家庭で事情は異なるとは思いますが、私は皆さんに、境遇を理由に進路を狭めないでほしいです。

悩みを持っていた私の友人たちは、自分たちなりに奨学金について調べたり、信頼できる大人に相談するなどして、納得がいくまで自分の進路と向き合い、答えを出していました。

大学側が女子学生に対して行なっている支援や配慮を活用するのも一つの手です。

この記事を読んでくださった皆さんが、夢をかなえられますように。

心から願っています。

読んでくださり、ありがとうございました!