【受験勉強】内職との向き合い方

地方高校生に、追い風を

はじめに

 大学受験に向けて、わずかな時間も無駄にしたくないと考えている、そこのあなたへ。

この記事ではそんなあなたに向けて、授業中に行う内職について、私が自分の実体験を交えながら解説していきます。最後の方に【まとめ】を載せているので、忙しい方はそこだけでも目を通して頂けると幸いです。

そもそも内職とは何か?

 最初に、そもそも「内職」とはどのような意味なのかを確認しておきましょう。

 ここで言う「内職」は主に生徒や学生などの間で使われている俗語で、授業中に授業内容とは異なる勉強を個人的に行う事を意味しています。
本来の「内職」は、補助的な収入を得るために行う本職とは別の仕事という意味だったのですが、「補助的な自分のための学習時間を得るために行う、授業でやっている本来の勉強とは別の勉強」というニュアンスから、このような意味が新たに産まれたようです。
今回は「内職」という言葉を、この「授業内容とは異なる勉強を行う事」という意味で使いたいと思います。

内職はやってはいけない事なのか?

 一般に内職のイメージはあまり良くありません。その最大の理由の一つが、授業を行っている先生に失礼だからという事です。
これは、「せっかく先生が一生懸命に授業の準備をして、生徒の理解を深めようとしているのに、その努力を無駄にするかのように内職をするのは、いくら生徒が授業料を払っている立場だからと言っても、あまりにも先生に失礼ではないのか」という事です。

(大学生になって塾講師や家庭教師のバイトを始めると、授業の準備をする事の大変さ、生徒の理解を深める事の難しさに否が応でも気付かされます。さらには学校の先生は授業を行うだけでなく、生活指導や様々な事務作業なども同時にやらなければなりません。この事を考えると、多くの学校の先生はかなり一生懸命に、というよりもむしろ必死で授業の準備をしていると言えるのです。)

一方で、内職をしている、または内職をしようかどうか悩んでいる生徒が多いのも事実です。その理由はいくつか考えられますが、最も一般的かつ根本的な理由は、学校の授業を全て真面目に受けていたら自分のための学習時間が足りず、大学受験の勉強が間に合わないからでしょう。

基本的に、授業は生徒の平均レベルに合わせて行われます。そのため、自分のよく分かっている内容を何度も丁寧に解説されたり、逆に自分のよく分かっていない内容をあっさりと流されたりします。
その為、「ここは知っているから飛ばそう」「ここは苦手だからじっくり取り組もう」と、参考書などを使って、自分で決めた内容を自分のペースで学習する方が、ただ授業を受けているよりも効率的になりやすいです。
さらに言えば、大学受験において実力を身に付けるためには、このような主体的な勉強が必ず必要になります。

 一方で、そのような自分のための学習が出来る時間はあまり多くありません。
例えば学校の授業を全て真面目に受けていた場合、自分のための学習は全て授業時間外の学習でまかなう事になります。これではどんなに頑張っても、平日6時間程度が自習に割ける時間の限界でしょう。
もし部活動をやっているのなら、この勉強時間はさらに短くなります。絶対的に時間が足りないのです。(私も高3の秋までハードな部活を続けていたので、この時間の足りなさはよく分かっているつもりです。)
そして、難関大学を目指している人にとっては、これでは到底大学受験に間に合わないのです。
そのため、授業中に内職をする事で、自分のための学習時間を少しでも確保しようとする人が出てくるのです。

 結局、内職はやってはいけない事なのでしょうか? それとも、先生に失礼だとは言え、大学受験のためには必要な事なのでしょうか? 結論を先に述べると、時と場合により、授業を真面目に受けるべきか、それとも内職をすべきかが変わってきます。それは、内職にはメリットとデメリットがあり、両者をきちんと認識しつつバランスを取る事が必要だからです。

内職のメリットとデメリット

 それでは、内職のメリットとデメリットを見ていきましょう。

(1) 内職をするメリット

自分のための学習時間を捻出できる

 ほとんどのメリットは基本的にこれに帰着されます。授業中に内職をする事で、自分のための学習時間を少しでも確保する事が出来ます。少なくとも、授業中にボーっとしていたり寝ていたりするよりははるかに有意義な時間の使い方と言えるでしょう。ただし、やり方にもコツ(例えば先生に見つからないようにする、または見つかっても先生に少しでも失礼にならないようにするコツ)があるので、気になる方はネットで調べてみて下さい。

(2) 内職をするデメリット

先生との人間関係が気まずくなる

 大学受験が近づいて来ると、不安な事や心配な事が出てきて、誰かに相談したくなる時があります。しかし、普段から内職という先生に失礼な行為をしていると、どうしても先生に相談する事が難しくなってしまうのです。どんなに塾や参考書で自習を進めていたとしても、進路や大学受験の相談で主にお世話になるのはやはり学校の先生ですから、むやみに学校の先生との人間関係を悪化させるのは良くないです。内職をするにしても、定期試験の成績をなるべく保つなどして、ある程度の信頼関係は維持しておくべきです。

定期試験前の面倒事が増える

 内職をしていると、授業の板書を取り切れなかったり、重要な連絡を聞き落としたりする事があります。また、授業の内容と内職の内容がかけ離れていた場合、定期試験の勉強をゼロから始めなければならない事もあります。すると、友達にノートを借りたり、定期試験前に猛勉強したりと、膨大な時間と手間がかかります。下手をすると、真面目に授業を受けていた時よりも定期試験の勉強が大変になり、自分のための学習時間を削らなくてはならないという事態も起こり得ます。

 このような事を防ぐためにはいくつか方法が考えられます。内職をしないという方向性で考えるのであれば、「授業内容は授業中に完璧に理解して、出来る事ならば今までの内容の復習まで終わらせる。そして、授業時間外では完全にその他の勉強に集中出来るようにする」という意識・態度で授業に臨むと良いでしょう。こうする事により、授業を受けている時間をより充実したものに出来るだけでなく、自分のための学習時間を増やす事も出来ます。

内職をするという方向性で考えるのであれば、内職にある程度の線引きを設けるという方法が良いでしょう。内職を始めるのは授業の内容を理解してからにすると決めたり、内職をするとしても授業の板書をきちんと取るようにしたりして、試験勉強にあまり時間と手間をかけなくても定期試験の成績を維持出来るような工夫をしましょう。

大学受験に関係の無い内容だと思っていた内容が後に意外な形で役に立つ事がある

 私は高校の家庭科の授業で薬膳や生殖補助医療について習いました。当時の私はとりあえず真面目に授業を聞きながらも、「こんな事をやって何になるのだろう」と考えていました。大学受験に関係が無いうえに難しくてよく分からない内容という事で、真面目に授業を聞いている生徒はあまりいませんでした。

 しかし、私は後にこの内容の有用性に気付かされました。私は医学部を受験したのですが、その時に薬膳は東洋医学に、生殖補助医療は最先端医療や医療倫理に繋がっている事を知ったからです。特に生殖補助医療は、法学や医療倫理とセットで語られる事が多く、実は医学部受験における小論文・面接の頻出テーマでもあるのです。つまり、私は意図せずして家庭科の授業を通して医学部受験の対策をしていた事になります。

 このような極端なケースはあまり無いかもしれませんが、その時「役に立たない」と思っていた事が後になって有用だと判明してくるという事はよくあります。そもそも、先生がその内容についてわざわざ授業で取り上げているのは、その内容が何らかの形で生徒の役に立つ、もしくは知っておくべき興味深い事であると先生が考えているからに他なりません。そう考えると、「大学受験に関係無いし、つまらないから」と言って安易に授業を切り捨ててしまうのは、あまりにも短絡的だと言えるでしょう。

 もちろん、「そうは言っても、時間が足りないし、自分のための勉強をさせてくれよ」と思うかもしれません。全ての授業を内職なしで真面目に聞く余裕は無いかもしれません。しかし、このような事実を心に留めて、可能な範囲でも構わないから授業に耳を傾けようとしてみて下さい。もしかしたら、それが意外な形であなたの将来を豊かにしてくれるかもしれません。それに、卒業後に振り返って懐かしく思い出す授業風景って、案外その時の光景だったりするものです。

私はどうしていたか

 さて、内職のメリットとデメリットを見てきましたが、いかがだったでしょうか。デメリットの解説のウェイトが圧倒的に大きくなってしまいましたが、これはひとえに私の個人的な受験体験によるものです。
私は内職をしつつも学校の授業をある程度真面目に受けるというスタンスを続けてきたため、「大学受験のために内職をするのはやむを得ないが、そのために授業を完全にないがしろにすべきではない」と考えています。
そのため、ついデメリットの解説(というよりもむしろ授業を真面目に聞くメリットの解説)に力が入ってしまいました。
しかし、デメリットの解説の中でも、デメリットを軽減しつつ内職を行う方法をいくつか提案しておいたので、内職をやろうと考えている方も、デメリットの解説を読んで頂けると幸いです。

まとめ

内職をすると自分のための学習時間を捻出できる一方で、やり方を間違えると先生との人間関係が気まずくなったり、定期試験前の面倒事が増えたりして、かえって非効率的になってしまいます。
また、大学受験に関係の無い内容だと思っていた内容が後に意外な形で役に立つ事もあります。
その為、内職のメリット・デメリットをきちんと認識しつつ、授業と内職のバランスを上手く取っていきましょう。

最後に

最終的に内職をするかどうか、内職をどのように行うのかを決めるのはあなた自身であり、それに伴う結果の責任も全てあなた自身が取らなければなりません。
そのため、この記事を参考にする時も、最後にはあなた自身の力でよく考えて、悔いの無いような決断をして下さい。

あなたの学びが、将来が、より豊かなものでありますように。応援しています。